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2017.12.08 09:02|地域コミュニティー
月曜日の朝、村の郵便局に行く用事があり一人で車に乗りこみました。
ひどく霧の濃い朝です。いつもより減速して一方通行の田舎道をのらくらと上ります。

霧の朝2017 (1)

十字路を右折して丘を下ると、私の車の前を農作業用のトラクターがゆっくり走っています。
しばらく後ろにつけていたら、道路脇のスペースにするっと入って私を先に通してくれました。ありがとう。追い越しがてら運転席を見ると、あら、地元の農夫デニスさんですね。数年前よくデニスさんから薪を買っていました。以前借りていた家の大家さんのいとこで、根っからのフィークル人のデニスさん。娘さんの一人と我が家の娘が一時仲良しでしたっけ。

自宅から村の中心までは車で10分ほどです。徒歩だと2時間はかかるかな。普段は歩く距離ではありません。
道路沿いに建つ家々は、いつの間にかどの家に誰が住んでいるのかほとんど分かるようになっていました。それどころかこの家はメアリーの生家で今はショーンとパトリシアが借りて住んでるとか、あの家には昔お巡りさんが住んでいて、そのあとダブリンのホイッスル奏者が移り住み、今では・・ということまで、詮索しなくても耳に入ってくるのです。面倒くさいようでもありますが、地域コミュニティーとはそういうものかなと思います。

村のメインストリートに入っていくと、まず目に入ってきたのが路上駐車されているジョンのバス。パブの店主だったジョンは、パブを売って悠々自適に定年生活。最近はそれにも飽きたらしく地域のスクールバスの運転手をしています。今年からフィークル小学校のスクールバスの担当になり、我が子どもたちを毎朝学校に送り届けてくれるのもこのジョン。アイルランドの伝統的なダンスの名人です。

あ、そういえばバターが少なくなっていたかも。モローニーズの前でふと気がついて、車を停め手動のドアを押して店に入ります。
誰もいない店内。パブも兼ねているモローニーズの店主ブライアンが奥からにょきっと出てきて「おおエリカ、元気?」
「なんて天気なんだろうね、まったく」
「うちのほうはすごい霧でしたよ。もう10時なのに真っ暗だし」
「エリカもこんな天気が好きでここに住んでるわけじゃないだろう?ええ?こんな天気の好きな人はいないよねえ」
「ホントよね。私、一体こんなところで何やってるんだろ」

会計をしながら軽快におしゃべりを続けるブライアンはエニスの町の出身で、10代の頃は私の義弟と同じフットボールチームでプレイしていたそうです。

買い物をすませて再び乗車、村はずれにある郵便局へ向かいます。
教会の近くを通り過ぎると杖をついていつも村を歩くトムの姿を発見。手をあげてあいさつしてくれます。村のコミュニティーホールの管理をしている人で、お父さんは腕のいいビルダーさんでした。

ジェイムスの店の前で立ち話をしているのはメアリーとクリスティーナ。
メアリーは私の親友のお姉さんの一人。クリスティーナは元地域看護士で、我が子どもたちが生まれた時に自宅を訪ねて健診してくれたのも彼女でした。特に最初の子どもが生まれて右も左も分からない不安な時に、赤ちゃん用の体重計をうんせうんせと持ってやって来てくれたクリスティーナの訪問が、何と嬉しかったことか。
手をあげて、あいさつ。

シーラが犬を連れて散歩しています。車に乗ってるのは誰かしら、と覗き込むように見つめてくるのが村の人たち。
彼女はもともとラウス州の人で、旦那さんのショーンの仕事でフィークルに移り住んだ人です。数年前に「最初はよそ者扱いも度がひどくてね。苦労したわよ」と話してくれたことがありました。

小包みを持って郵便局に入ると、局員のブライアンは泥だらけの作業服と長靴姿の男性と接客中。明らかに地元の農夫さんです。アイルランド訛りというのは地方によってバラエティーに富んでいて、細かくするとこの村特有のアクセントというのもあります。そのフィークルアクセントでブライアンとボソボソ話す目の前のファーマーさん。生まれも育ちもフィークル村のスミス家の旦那さんだな。「どうも」「はいどうも」という簡素なあいさつをしてからすれ違いざま、家畜のにおいがプンとしました。
いつも穏やかな笑顔のブライアンに小包みを手渡して支払い完了。「ありがとうブライアン」「OKエリカ、またすぐにね」

家に戻ってくると、霧はすっかり晴れて空には虹が出ています。

虹201711月 (2)

じめじめと雨の多い、暗くて寒いアイルランドの冬。気分が塞ぎがちになる季節ですが、この土地に生きる人々の呼吸を感じると、気持ちは温かくなるから不思議です。

望月えりか @Twitter (心に浮かんだこと、何気ない出来事や印象に残った瞬間を言葉にしています)
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2015.11.06 23:30|地域コミュニティー
前回の記事で、私の暮らす地域の近所づきあいの様子を少し書きました。
普段は特に何もない静かな土地ですが、今年の夏に私たちの隣人が近所の人たちに向けたホームパーティーを開いたことがありました。

ホームパーティーというのは我が家でも時折やることがあり、アイルランド不定期便でも過去に取り上げたことがありますが、アイルランドのホームパーティーは「かしこまっておもてなしする」ものとはかなり違います。
もっとカジュアルで、気楽で、フレンドリーで楽しいもの。
身構えずに自分たちの家を開放できるというのが私はとても好きで、外でだけ会っている友人たちとの距離もぐんと縮むように感じます。

今日は、この隣人が開いたホームパーティーの様子と共に、アイルランド流ホームパーティーの表裏も見てみましょう。
成功の鍵は、ホストに負担をかけないこと、でしょうか。あくまで自然体で、おおらかに。
皆さんも、ぜひご自宅で試してみてくださいね。

こちらの隣人は、テキストメッセージやEメールは苦手。「デジタルのものじゃなくて、招待状を作って印刷して配る方がいいな」というわけで、私が文面を手伝い、彼女が印刷をして近所の家々を回って招待状を配りました。
「○月○日、○時からパーティーします。みんなでシェアできる食べ物、飲み物歓迎します。楽器ができる人はよろしく」といった簡素な内容だった気がします。

パーティーの会場は、古い干し草小屋。
屋根があるから万が一雨が降っても大丈夫だし、たき火もできる。パーティーの数日前に地面をきれいにならして、木のボードなどを並べてベンチ代わりにしました。

Glendree Garden Party 2015 (4)

「6時から」ということだったと思いますが、アイルランドの場合はこの時間きっかりに来る人はまずいません。むしろ、個人のパーティーのような席に時間通りに現れることは、ホストを急かしているようなかっこうにもなりかねず、敬遠されます。この辺りの心配りも、私はとても好きなのですが。
そんなわけで皆さん、自分の都合のよい時間にふらりと現れます。

さて、パーティーと言っても特に何かプログラムがあるわけではありません。必要なのは、集まってくれる人と飲食類ぐらいでしょうか。
ホストとなった女性が紙皿、紙コップやフォーク類、そして数品の手料理を用意していました。「一品持参」というお触れがなかったとしても、ホームパーティーに手ぶらで来る人はまずいません。用意された長テーブルは、あっという間にサラダやパン、ケーキ、タルトなどの食べ物でいっぱいに。

Glendree Garden Party 2015 (8)

飲み物も、お酒を飲みたい人は基本的に持参します。ホストが用意している場合もありますが、「このビール最近見つけて、おいしいの。ぜひ飲んで!」とケースで持ってくる人、ホームメイドのジュースやワインをみんなでシェアするのに持参する人もいます。その結果、ホストの人は飲食類が足りなくなるどころか、パーティーのあとにはみんなが置いていったあれこれでキッチンがいっぱい!ということになります。
「余っても仕方がないから、持っていってよ」とホストが声をかけて手土産にするケースもよくありますが、基本的には自分が持っていったものはホストの人への気持ちです。

地元の農家のひとたち、ここに移り住んだ新しい人たち、アメリカ人、ドイツ人、イギリス人、オランダ人。さまざまなバックグラウンドの人たちが集まりました。大人だけでも30人超でしょうか。
ホームパーティー、とりわけこうした近所の人たちが中心のパーティーは、その地域に暮らす者としての「顔出しておかないと」という義務感もあるので、参加率はとても高くなります。「あのお宅、電気もついているし家にいるようだけど、パーティーには出てこない様子ね」なんていうのはちょっと理解に苦しみますね。家にいるなら、30分でも顔を出す。この顔合わせが、いざという時の力になることがあります。

Glendree Garden Party 2015 (9)

たき火のそばで、フィドルとハープの音楽が始まりました。その場にいた人たちも、時折聴き入ったり拍手をしたり、またおしゃべりに戻ったり。私もあとからフィドルで参加させてもらいました。

近所の子どもたちはみんな走り回って遊びます。子ども向けの何かが用意されているわけではありませんが、子どもは複数集まれば遊び始めるものです。夜遅くまで外で遊んでいい、というのは子どもたちにとっても特別な時間。木に登ったり追いかけっこをしたり、一年で最も日の長い6月の夜を楽しんでいました。

Glendree Garden Party 2015 (5)
(あちらこちらにさり気なく置いてあったロウソク。要らなくなった空き瓶に水を入れてロウソクを浮かばせたもの)

ホームパーティーのスタイルはいろいろです。
寛容なホストが豪勢な料理を山ほど用意している場合もあれば、各自一品持ち寄りでより親しみのあるパーティーを作ることもあります。ミュージシャンたちが集まって演奏するセッションパーティーやダンスパーティー、キャンプファイヤーということもあり、それぞれ面白いですね。

会費や食費など、金銭のやり取りは嫌がられるどころか絶対のタブー。ホストの人も招かれた人も、お互いに気持ちよく過ごせるように、かしこまらず、おおらかに。
パーティーは、人の集まりそのものを楽しむもの。
この夜も、そんなゆったりとしたパーティーを大いに楽しんだのでした。


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2015.10.30 15:49|地域コミュニティー
私の暮らす農村は、家々が点在するとても静かなエリアです。
我が家から最も近いご近所さんの家までは、歩いて2分ほどでしょうか。「隣の家」というのはなくて、牧草地や林のある土地の合間に、個人の家がぽつぽつと建っています。

我が家 (2)
(遠くに見える我が家)

歩いて数分のところに住む70歳に近い女性とは、手芸という共通の趣味もあってときどきお互いの家にひょこっと顔を出しては、一緒にコーヒーを飲む仲です。「最近何を作っているか」という手芸の話題から家族の話、ガーデンの話など他愛のないおしゃべりを楽しみます。

同い年の子どものいるご近所さんとも親しくしています。子どもたちが頻繁に行き来しているので、お互いの子どもを公園に連れていったり、「1時間だけ見ててくれない?」なんていうお願いも気軽にできるいい関係です。

近所に住む人たちとは、道で会えばあいさつを交わしたり数分でも立ち話をしたりします。
話し上手な人や社交的な人もいれば、シャイで寡黙、人付き合いの得意でない人ももちろんいます。
それでも、黙って素通りしたりあいさつをしないなんていう人は、一人もいません。
近所の人に会ったらあいさつをする。そりゃあそうだわね。

ここに暮らしていると、こんな自然体の近所づきあいが気持ちよく、とてもありがたく感じます。
「私は近所づきあいはしない主義なんです」なんていう発言は、誰もしません。むしろ、そんな選択肢があることすら誰も考えていない様子。そんな周囲の人々とのかかわりの中で、「近所づきあいをしない自由」というのは、自由のはき違えなのでは・・」とさえ思えてきます。

地域の人とのこうしたつながりは、地域コミュニティーの原点です。

何か困ったことがあった時。地域で災害が起きた時。急に外出しなければならず、子どもを誰かに預けたい時。
助けてくれるのは、車で30分離れたところに住む両親でもなければ、電車を乗り継いだところに暮らす親友でもありません。助け合えるのは、近所の人たち。あなたの地域の人たちなんですね。

同じエリアに住んでいる人たちが顔を合わせるのは当たり前のこと。お互いが気持ちよく暮らしていくためには、こんな身構えない近所づきあいがちょうどいいように感じます。


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2011.11.24 00:12|地域コミュニティー
フィークルの隣、車で20分ほどのところにスカリフ(Scarriff)という小さな町があります。フィークルの村にはない銀行やスーパーマーケットなどがあり、よく出かけます。

この前も図書館に行くのにスカリフの町へ行きました。町の入り口にある十字路を横切ろうとしたら、右から来た車にフィークルの友達が乗っているのを発見。すれ違いざまにお互いちょっと停車して窓を開け、「元気?」と挨拶を交わします。ふと見ると、道路の反対側でその友人が動いてくれるのを待っている車がいます。「あら、いけない」と思いつつよく見るとこれまた「○○の奥さんだわ」と知り合いです。
待たされるのにイライラするでもなく、笑顔でこちらを見ています。手を振って彼女に挨拶をして、友人との会話を切り上げ図書館へ向かいます。
本を借りる時に、今度はマウントシャノンというスカリフの更に向こう側に住む長年の友人を夫が発見、「久し振り~」とおしゃべりが始まりました。

隣町でこうやって友達に会うのはアイルランドの田舎では決して珍しいことではありません。
それだけコミュニティーが小さいということなのでしょう。みんなが知り合いといえるわけではありませんが、もしかしたら人を一人介せばすべての人がつながっているかもしれないという感はあります。
そういえばスカリフのオーガニックショップはうちのご近所さんのお母さんが経営してる、坂を下ると親友の働くオフィスがある、スカリフの学校ではこれまた近所に住む女性が教師をしてる・・などと考えていくと知り合いに全く会わないほうが不自然なくらいです。

このような小さなコミュニティーは、悪く言えばしがらみの多い場所かもしれません。でも、そんなことよりもみんながお互いを同じコミュニティーのメンバーとして監視するでもなく知っていて、いざという時に力になってくれるという心強さがあります。

都会で育ち、同じ階に誰が住んでいるのかも知らずに生活していた私にとっては新しい世界でしたが、今ではすっかりこのコミュニティーが居心地よく感じられるのです。

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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