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人とつながる、ワイルドガーリックのペスト

2021.05.20 19:45|ワイルドフード
アイルランドの春は、わらびやゼンマイ、イラクサなど山菜が豊富です。知らなければ通り過ぎてしまいますが、食べられる自然の恵みが身近にあることに気づくと嬉しいものですし、摘んでいるとまるで自然の一部になれたような気分になってワクワクしてしまいます。
自分の口に入れるものだから、この植物はきれいな場所で育っているよね、大丈夫だよね、とどこかで確認している自分がいて、それが、きれいな空気やきれいな水を守っていかないといけないなあという意識に自然とつながっていく感覚。私にとっては、これが一番の収穫かなあ。

アイルランドの山菜の代表格と言えば、ワイルドガーリックではないでしょうか。(こんな記事も昔書いていました!→「ワイルドガーリックの移植」)
日本語ではラムソン、クマネギなどと呼ばれるそうで、アイルランドでは4月になると葉の部分を収穫してペストを作ります。

ワイルドガーリックのペストは私が友人たちとやっているガーデンクラブのランチで持ってくる人がいたりして、食べたことは何度もあるものの、自分ではこれまで作ったことがありませんでした。
我が家から歩いて5分ほどのところに、ワイルドガーリックが群生する場所があるのですが、ここはカトリーナというご近所さんの私道。気軽に散歩したり、自由に行き来してよね、とは言ってくれているものの、プライベートの道端でせっせとワイルドガーリックを摘むのはやはりどうもずうずうしい。
今年になって見に行ってみるとカトリーナのワイルドガーリックは更に繁殖していて、今がまさに収穫時。それでも。ね~、と思いながら眺めていると、カトリーナの近くに住むジャッキーとセッジが歩いてきました。

「ここのワイルドガーリック、どんどん増えてるわよね」

「本当に!収穫してペストを作ってみたいなとは思うけど、勝手に摘むのは心苦しくてね」

「全然(カトリーナは)気にしないと思うわよ!」
「むしろ、誰かが摘んでくれたほうがいいんじゃない?これだけあるんだから」

というような会話をしました。

そうだよね。摘めたらいいよね。思い切って、カトリーナに訊いてみればいいんだよね。

そして数日後。

ワイルドガーリック2021 (2)

カトリーナの道はブナの大木が並び、ただでさえ美しいので私はよくダロックくんをボギーに乗せて散歩に行くのですが、ここでカトリーナに会うことができました。
彼女はステンドグラス作家で、我が家の土地の隣にかわいらしい木造の工房を持っています。彼女は今、アイルランドステンドグラス協会に所属する作家たちのコラボレート作品を作るため、集められたグラスアートの一つ一つをつなぎとめていくデリケートな作業の真っ最中。
「ああエリカ、みんなから集まった作品がね、とっても美しいのよ!ちょっと時間あるならぜひ見に入って、こっちこっち」と工房に案内してくれました。

繊細で、さまざまなメッセージのこもったグラスのかけらたちは、光にかざすと色も表情もまた変わって、ほれぼれする美しさ。それぞれの作品について熱心に説明してくれるカトリーナを見ていると、ああ、この人は本当にこの仕事が好きなのだなあということが伝わってきます。ほかにも、子どもの話、ガーデニングの話、私の糸紡ぎの話、カトリーナも昔没頭していたという染色の話で盛り上がりました。そして、ワイルドガーリックのこともこの時、訊いてみたのです。
「まったく構わないわよ!自由に摘んでちょうだい。私もときどき料理に使うけどトッピング程度だから全然減らないの」

と快いYesをいただきました。わー、嬉しい。
彼女の工房をあとにし、そのまた数日後。紙袋をボギーに入れ、自転車に乗るショーンも連れて、念願のワイルドガーリック摘みに出かけました。

ワイルドガーリック2021 (3)

生い茂ってる!!!
大きくて元気な葉を選んで、収穫していきます。5月になると白くてきれいな花を咲かせるワイルドガーリックですが、収穫は花が出てくる前が望ましいそうです。

袋にいっぱいのワイルドガーリックを収穫させてもらいましたが、振り返って見ると私が摘んだ形跡は見事にゼロ。よかった。これなら来年も元気に増えてくれそうです。

ワイルドガーリック2021 (5)

さっと洗って、オリーブオイル、ナッツ、パルメザンチーズ、塩こしょうと一緒にブレンダーにかけるだけで出来上がります。
パインナッツを使うレシピが多いようですが、私はキッチンにあったウォールナッツを使いました。2回目に作った時は、オーブンであらかじめローストしておいたヘーゼルナッツで。風味が微妙に異なり、こちらも美味。
ブレンダーという機械はあると便利なのですが、音もうるさいし私はあまり好きではありません。電気を使わず、包丁やペスト作り用のナイフで根気よくすべての材料を細かくしていったほうが、風味が損なわれずおいしくできると書いてある本もあります。時間のある時にやってみよう。

ワイルドガーリック2021 (4)

煮沸消毒したガラス瓶にペストを入れ、ペストが空気に触れないようオリーブオイルをたっぷり上にかけてからふたをして、ワイルドガーリックのペストが完成です。冷蔵庫で保存して、もう3週間ほど経っていますがまだ食べられます。

ワイルドガーリック2021 (7)

定番はなんと言ってもパスタ。ゆで上がったパスタに絡め、塩加減を調整するだけで簡単なランチになります。我が家のビニールハウスで収穫したサラダと一緒に。
クラッカーに乗せて食べたら、こちらも感動的なおいしさでした。作ってよかったー!

5月に入った今でも、夕方の時間帯によくカトリーナの私道を散歩します。
西日を受けたワイルドガーリックは、美しい白い花を咲かせ、それは見事です。

ワイルドガーリック2021 (1)

なんてきれいなんでしょう!

ワイルドガーリック2021 (6)

自然が織りなす美を見つめながら、カトリーナの工房で見た人の手が織りなすグラスアートの美しさも重ねていました。
どちらも劣らず美しい。

たくさん作ったワイルドガーリックのペストは、カトリーナにおすそ分け、ジャッキーとセッジにも。どうせなら仲良くしているほかのご近所さんにもと配っていたら、結局手元に半分ぐらいしか残りませんでした。
でもいいのです。
カトリーナはメッセージをくれて、ペストがあまりにおいしくて、2日間ほどで食べ切ってしまったとのこと。そんなに喜んでもらえたのならと、もう一瓶届けてきました。

同じ土地に暮らす人たちで、その土地に育つ食べ物を共有できること。これって、すごく幸せなことだと思いませんか。
また来年、こんな風に収穫して、こんな風におすそ分けしながらペストを楽しめたらいいなと思います。

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と5人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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