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たくさんの大人に囲まれて

2019.09.11 21:19|アイルランドで子育て
「ソフィー!馬が来るから下がって下がって。私と手をつなごう」

数年前から参加し、毎月活動をしているガーデンクラブに行ってきました。日本から来ていた母も「面白そう、行きたい」と言うので、今日はみんなでシェアをするランチを二人分持って出かけることにしました。フィークルの村の反対側に暮らす家族が経営する、大農園での作業です。
普段はホストが希望する作業内容に合わせて、持参する園芸用具をあらかじめ言い渡されるのですが、そういえば今回は何も指示がない。手ぶらで行くのも落ち着かないので、念のため木製のハンドルがついた大きなフォークを車の後部座席に放り入れて家を出ました。

着いてみると、これからの3時間の労働に備え、ホストであるカップルの友人は既に畑に出ています。
「今日の主な作業はじゃがいも掘りだから、よろしくね」とのこと。

やっぱりガーデン用フォークを持ってきてよかったと思っていたら、「掘るのは私たちじゃなくて、今日はハリーたちが農耕馬を1頭連れてきてくれるのよ。芋掘りは馬に任せましょう」

しばらくするとホースボックスをけん引したハリーたちの車が到着、真っ黒の美しい馬トリッシャが優々と現れました。
まずは手作業でジャガイモの茎をすべて取り去ります。土の中に眠るじゃがいもを馬を使ってどうやって掘り起こすのか。この日参加したガーデンクラブのメンバーたちも興味津々。
私にはとても説明できないような馬具がいくつか取り付けられ、馬の後ろにはフレームのような大きな金具が引きずられています。トリッシャはただ歩くだけ。するとこの金具が土と擦れて表面を掘り起こすという仕組みです。
さほど大きくないじゃがいも畑を、馬とモーナが何度も往復します。そのたびに、土の中からはごろごろとじゃがいもが顔を出すのです。私たちは馬のあとに続いてこのじゃがいもを拾っていくだけ。なんと静かで優雅な芋掘りでしょう!

さて、私たちのガーデンクラブはすべて大人たちで構成されていますが、その子どもたちもときどき一緒にやってきては作業を手伝います。我が子どもたちも小さかった頃はよく一緒に来てくれたのに最近はすっかりご無沙汰で、ほかのメンバーの子どもたちもまた然り。10代になってくると日曜日の朝からの労働には付き合ってくれなくなるようです。仕方ないか。
ホストのカップルには4歳になる女の子がいて、この日はこの子が唯一の子どもメンバーでした。作業を手伝うというよりは私たちの周りをうろうろ、じゃがいもを入れるためのバケツに入りこんだり、誰かに話しかけたりして、そのチャーミングな笑顔を振りまいていました。

2015年ガーデンクラブ (3)

馬が前方からゆっくり近づいてくると、「ソフィー、ソフィー、ほら、私たちと一緒にこっちに来ててちょうだい」とみんなから声がかかります。「手をつなごう」と言われてもはにかんで体をくねくねさせるソフィー。すると、なぜか私の手はつないでくれました。そのあとも手を離さず、「あれを見に行こう」とか「ここに座って」などと言ってすっかり遊び相手だと思われているようです。
しまいにはお父さんに「ソフィー、今日はみんな仕事をしに来てくれてるんだから邪魔をしちゃだめだよ」とやんわり諭される始末。

私はソフィーが生まれる前からこのカップルと親しくしています。ほかのメンバーも同様で、ソフィーは誰もがよく知っている小さな女の子なのです。
ソフィーは女性メンバーに抱っこされて一緒に歌をうたったり、ハリーのところへ走っていって何か質問をしたり、今日初めて会ったであろう大人たちとも何やらおしゃべりしては一緒に笑い転げます。
一緒に行った私の母などは「ん?どの人が彼女のお母さんなの?」と最初は判別できなかったほど。
そんな光景を見ていて、「ああ、これはいいなあ」とつくづく感じました。これって、最も理想的で自然な子育ての環境ではないかしら。

もちろん、ソフィーにとっての教育者は両親。学校や親戚や近所の人ではなく、彼女を育てるのは彼女のお父さんとお母さんです。
でも、こんな風に子どもたちの周りにたくさんの大人がいればいるほど、子どもの世界は豊かになっていく気がします。
お母さんと一対一の子どもではかわいそうだし、お母さんも辛いはず。
世の中にはいろいろな人間がいる。いろいろな姿かたちの、いろいろな心を持った人たちがいることを、小さい時に肌で感じて知っている子どもたちは、強く柔軟です。
両親、祖父母や叔父叔母、いとこ、そのほかの親戚。それに両親の親しい友人たちや近所の人たち、学校のお友だちの親たちや地域コミュニティーの人々。そんな多くの大人たちが、それぞれの立場から子どもの成長をそれとなく見守っている、とでも言うのでしょうか。
目に見えない、緩すぎずきつすぎずのこうした人の輪は、子育てにも絶好の環境を作ってくれているようです。

力仕事のあとはお待ちかねの持ち寄りランチ。いつも通り、すべてベジタリアンの手作り料理が並びます。かぼちゃのカレーに玄米、グリーンサラダ、ズッキーニの塩もみ、新鮮なトマトと玉ねぎのサラダにモーナの自家製チーズ。
ソフィーも水でぐちゃぐちゃになった粘土をこねまわしては「どろんこスコーン食べる人~?」と盛んに私たちを誘ってくれたのでした。

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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