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12年ぶり?のフィールドマッシュルームと妖精の話

2018.08.08 09:45|ワイルドフード
昔、私たちは村にほど近い場所にぽつんと建つ小さな古い家を借りて暮らしていました。
自分たちでデザインしたこの家に移り住んだのがちょうど10年前ですから、私がこの家にいたのは4年間。
この頃大変お世話になっていた大家さん一家の奥さんから、先日私のところにメッセージが届きました。
「うちの牧草地にフィールドマッシュルームがたくさん出てきたの。採りに来ない?」

まあ!

何と嬉しいお誘いでしょう。そして、何と嬉しい心遣い。
きちんとお礼をして、明日の午前中に伺っても大丈夫でしょうか?と返事をすると「もちろん」とのこと。
翌日、畑で穫れた野菜や今年作ったグースベリーのジャムを手土産に、久し振りに大家さん宅に向かいました。

変わらず気さくに迎えてくれる奥さんのマリアン。「いつも通り散らかってるけど、まあ座りなさいよ」とキッチンに通してくれます。当時はまだ小さかった大家さんの子どもたち6人はみんな成人しています。今誰がダブリンに住んでる、3男が結婚したなど家族の話に花が咲きました。

そこへ旦那さんで農夫のウィリアムが長靴姿で裏口から現れ、「みんな元気なのかい」と田舎の人らしい慎ましい笑顔であいさつ。
つばの破れたハンチング帽を脱ぐと、部屋の隅にある古いレンジの前に座ります。

ウィリアムはとっても変わった農夫です。
村の出身で農家育ちなのに除草剤なども使わないし、アナグマを殺したりもしません。その代わり、木や植物、鳥など身の回りの自然に非常に造詣の深い人で、その知識の豊富さには話すたび驚きます。まさに歩く辞書のような人なのです。

庭に60年以上あるリンゴの木や自分で植えた珍しい木の話などしたあと、フィールドマッシュルームのある場所に案内してくれました。

ブナの並木道を下り、農業用のゲートを開けると・・・あっ、すごい!!

フィールドマッシュルーム2018 (9)

フィールド一面、無数の白いマッシュルームがあっちにも、こっちにも!

フィールドマッシュルーム2018 (13)

ウィリアムと話していると
「ほら、毎年こんな風に出てくるわけではないんだよね。どのフィールドにも出てくるわけでもないし。肥沃なフィールドに、それも気温が上がって乾燥した夏を過ぎると出てくるようなんだ」

「まだここに私たちが住んでいた頃、一度だけフィールドマッシュルームが出てきた年がありましたよね。あれはいつだったか・・」

「うん、それはおそらく2006年。2006年の夏も暑くなったんだよ。こんなに一気にフィールドマッシュルームが出てきたのは、あの年以来かもしれない」

フィールドマッシュルーム2018 (11)

あまりかさの広がっていない、若くて丸みを帯びたものを収穫します。
きのこは、顔を出したかと思うとあっという間に大きくなり、わずか数日で姿を消してしまいます。

フィールドマッシュルーム2018 (12)

こちらは収穫するにはやや大きすぎるかな。それにしてもきのこって不思議な形をしていると思いませんか?

すると、ウィリアムがこんな話をしてくれました。

「ほんとにね、きのこっていうのは不思議な出で立ちで、何か魔法がかった姿をしているよね。だからなのかな、きのこは昔から妖精と共に語られることが多いようだ」

フィールドマッシュルーム2018 (1)

以下、ウィリアムが教えてくれたストーリーを訳してみました。

むかしむかし、ある農夫のフィールドにレプラコーン(妖精の一種)が住んでいた。
レプラコーンは、金の塊を秘密で隠し持っていた。
これを突き止めた農夫は、ある日レプラコーンを待ち伏せて捕まえた!
「金の塊はどこにある?教えないと逃がさないぞ!」
ますます強く締め付ける農夫にレプラコーンは降参し、
「分かった、分かった!金のありかを教えてやる!ほら、あのフィールドにマッシュルームが一つ見えるだろう。金の塊はあのマッシュルームの下に隠した。4フィート掘った地下に隠した」
金の塊のありかを知った農夫はレプラコーンを放してやると、さっそくショベルを取りに自分の家に戻っていった。
ショベルを持って長いレーンを延々歩き、やっとこさレプラコーンの指さしたフィールドに戻ってくると・・・
フィールドは無数のマッシュルームに覆われていたのだとさ。

フィールドマッシュルーム2018 (8)

さあ、持参した二つの袋はものの10分ほどでマッシュルームでいっぱいに。
更には彼らの庭から早熟のリンゴを何個もいただいて、ホクホクで帰宅した私たちです。

フィールドマッシュルーム2018 (5)

娘のリラはマッシュルームがあまり好きではありません。
ですからこの日のマッシュルーム狩りも意欲に欠け、「こんなにもらってどうするの?」とでも言いたげな表情。
さっそく夜のディナーで採りたてのマッシュルームをバターと塩、レモンジュースでソテーして出すと「・・・じゃあ少しだけ」。

「あ、でもね、自分でもちょっと意外なんだけど、このにおいは好き。・・・モグモグモグ・・・え~、不思議、これなら食べれる。これならおいしい!もっとないの?」

マッシュルームや山菜など自然の中で育つ食べ物のことを、英語ではWild Food(ワイルドフード)と呼びます。
こんな娘のコメントを聞いていると、自然の恵みってすごい力なのだなあと思うのです。

食べ物には旬というものがありますね。こんな暮らしをしていると、旬の野菜を食べることがいつの間にか私にとって自然なことになりました。それと同時に、旬でないものを食べることには抵抗を感じます。
そこに来て今回のフィールドマッシュルーム。
私たちにとって、12年ぶりの旬がやってきたのかもしれません。

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望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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