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こぼれ種が嬉しい5月

2018.05.23 07:26|アイルランドで畑仕事
5月の気温の上昇と同時にあらゆる植物や木々が競うように芽を伸ばし、枝を伸ばしています。
私の家の回りはまるで一面緑のグラデーションのよう。美しい季節がやって来ました。

ぐんぐん育っているのは畑の野菜も同じこと、このまま夏に向けてひたすら生長あるのみです。
さて、この季節になるとちょっと嬉しい発見が畑のあちらこちらで見られます。

こぼれ種が嬉しい2016 (12)

日々大きくなるジャガイモの脇に、きれいな紫色の茎とギザギザの葉が特徴のケールの苗がいくつも。

私たちが植えたのではありません。
去年ここで育てていたケールのこぼれ種が発芽し、勝手に出てきたのです。

こぼれ種というのは、その名の通り何かの植物から種がこぼれて、それが自然に発芽し自生している時に使われる言葉です。

ビニールハウスの中では特に顕著で、実にさまざまな野菜や花がこぼれ種となって次の年に発芽してきます。

こぼれ種が嬉しい2016 (1)

こちらは、いつか不定期便でもご紹介したことのある蕎麦(そば)。(記事はこちらです→「アイルランドでも育つ、蕎麦」
花もきれいだし、畑のどこかには毎年絶やさず育っていてほしい植物です。とは言え蕎麦は繁殖力が旺盛で、適度にコントロールをしていないとビニールハウスの中では完全占拠されてしまいます。元気なのは嬉しいのですがね。

こぼれ種が嬉しい2016 (6)

毎年必ずと言っていいほど出てくるナスタシウム。鑑賞用としても人気がありますが、我が家ではナスタシウムの葉も花もサラダにして食べてしまいます。

こぼれ種が嬉しい2016 (2)

パンジーもあちらこちらから顔を覗かせてくれます。
面白いことに、私が植えた1株は黄色の花をつけていたのに、そこからこぼれた種からできた苗は花が薄紫だったりヴェルヴェットのような深い紫だったり。花の大きさにも変化があるのです。ひとつの種が持つ無限の可能性に驚かされます。

ハーブの多くも、こぼれ種で増えてくれます。

こぼれ種が嬉しい2016 (10)

パセリ。
ここ数年というもの、私がパセリの種を蒔く必要はまったくありません。こぼれ種で発芽し、生長し、花が咲いて、種ができて、これがこぼれて、翌年に発芽し、生長し・・の連続。手間要らずとはまさにこのことです。

こぼれ種が嬉しい2016 (11)

コリアンダー。
私の大好きなハーブのひとつです。あっという間に花が咲いて種になってしまいますが、数週間後には古株の横にもう新しい芽が出ている。サイクルの早い植物です。

こぼれ種で野菜が育つことが分かってからは、旬が終わってとう立ちしてしまった野菜をわざと数株残し、種を作って畑地に置いておくようなこともするようになりました。

こぼれ種が嬉しい2016 (4)

こぼれ種が嬉しい2016 (7)

これはニンジンかな~。
ニンジンの花がきれいだという話を誰からか聞いて、花を咲かせるためにハウスの中で少しだけニンジンを育てたことがあります。翌年になると、花の咲いていた場所から無数のニンジンの芽が出てきました。小さな種ですが、こちらも見事な生命力です。

こぼれ種で勝手に育ってくれる植物は、私の手で蒔くものよりも生育力が強いように思います。
自ら場所を選び、発芽に最も適した季節に、自分の力で土から出てくるからなのでしょう。この自然の力に抗えるものはほかにないようで、病気知らず害虫知らずの元気な苗が育ちます。

考えてみれば、人の手の入らない自然界というのはこぼれ種に依存しています。
一年草はみんな最後には種をつけ、その種がこぼれて発芽し、次の年に命をつなげていきます。
一年草に限ったことではありません。木もこぼれ種で芽を出し、環境が適していれば葉を増やし枝を伸ばし、大きく根を張って生長していくのです。

風が種を運ぶ。または虫や鳥、獣が種を運ぶ。種の運送屋たちも立派な仕事を任されています。
自然とは、本当にバランスよくできているものです。

これは、一体誰が運んできたのでしょう?

こぼれ種が嬉しい2016 (13)

ニンニクを植えた畑の脇で、いつの間にか大きく育っていたクレソン。
クレソンをこの畑で育てた記憶はないのですが。誰かが持って来てくれた野菜の苗の土の中にでも紛れ込んでいたのでしょうか。こちらも時折つまんでは、おいしくいただいています。

今、日本では戦後にできた「種子法」が廃止され、それに伴い種の価値が変わる事態に直面しています。
種は私の暮らしにとって身近であり、種について思うことは多々あります。またの機会に、種の話も少しずつ書いていきたいと思っています。

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望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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