FC2ブログ

農夫パットさんの帽子

2018.03.13 01:26|毛糸と私
先日、ちょっと嬉しいことがあったのです。

皆さん、この帽子を覚えていますか?

パットさんの帽子 (1)

アルパカも、紡いでいます」というタイトルの記事に載せた写真です。

この帽子は、私にアルパカの原毛をくれたフィークル村出身の農夫パットさんのために、私が編んだものです。パットさんからもらったグレイのアルパカ、そしてパットさん自らが飼育する黒い羊の毛の2種類をそれぞれ紡ぎ車にかけて紡ぎ、それらを一緒に撚った毛糸で編みました。
3本撚りの毛糸なので、極太に近い太さです。パットさんは農夫だから、冬でも風を通さないかっちりした帽子がいいんではないかしら。それもなるべくシンプルで、折り返して被るかもしれないからリブの部分は長めがいいんではないかしら。そんなことを考えながら何度か編み直して作った帽子です。
原毛をくれたお礼に作ったこの帽子は、村の郵便局のブライアンが「パットに渡しておいてあげる」と言ってくれたのでそのままブライアンに預けました。

それが2年前のこと。

あの帽子がパットさんに手渡されたのか、包みを開けて見てくれたのか、かぶってくれたのか。何も分からないままでした。
たまたま顔を合わせてもパットさんは何も言わないし、そうすると私も何も言いません。
少なくとも気持ちは伝わっただろうから、もういいわね。

そう思っていたのです。

我が子どもたちが通う音楽スクールの企画で、アイルランド音楽を学ぶロンドンの子どもたちとの交流会があり、娘と連れ立って行ってきました。翌日はフィークルの村のパブで音楽のセッション。パブは音楽を学ぶ子どもたち、その親、地元の音楽好きの人々で賑わっています。

そこへ、ふらっとパットさんが入ってきました。

夜の10時を回る時間なのに、パットさんはまだ農作業用の長靴に泥だらけのジャケットという出で立ち。
パットさんの姿をとらえた瞬間、気づきました。

私の帽子をかぶってる・・・!

するとパットさんは自分の頭を指さして「You saved my life」(君に救われたよ)

「それ、私があげた帽子?」と訊くと、ゆっくり頷いてまた「...You saved my life」。
パットさ~ん!!

思わず「ああ嬉しい!ちゃんと使ってくれてるんだ!」と言ってパットさんの頭に乗った帽子に触ると、干し草やら泥やらで明らかに汚れているのが分かります。
私が思っていた通り、農作業用に使ってくれている。

そして、リブは私が思っていた通り、折り返してかぶっている。

何とも言えない幸せな気持ちになりました。

パットさんの帽子 (2)

お酒の飲み過ぎでパブのカウンターでそのまま寝てしまったり、突然起きて歌い出したりすることもあるパットさん。
彼を取り巻く環境は決して優しくはないかもしれませんが、せめて頭だけはしっかり防寒できているみたい。

パブでは次々にアイルランドの古い曲が繰り出されます。たくさんの軽快なリールとジグ。
アイルランド語の歌を座ったまま誰かが歌い、小さな男の子や女の子たちが出てきてセットダンスを披露します。
明日の朝は学校よ!なんてナンセンスは誰も口にしない田舎のパブで、娘と弾くアイルランド音楽は日付が変わるまで続きました。
音楽とパットさんの帽子のおかげで、心が躍るような夜となったことは言うまでもありません。

望月えりか @Twitter (心に浮かんだこと、何気ない出来事や印象に残った瞬間を言葉にしています)
にほんブログ村 海外生活ブログ アイルランド情報へ
にほんブログ村

アイルランド田舎生活のフェイスブックページへGo!
オンラインショップ「アイルランド田舎生活の小さなお店」はこちらです。
DSCF9221.jpgバリーズティー画像 (11)キャンベルズティー (7)キャンベルズ詰め替え用 (5)

「ハンドメイド、手仕事のマーケットプレイスCreema(クリーマ)」にてアイルランドの毛糸を販売しています。
DSCF8878.jpgDSCF8815.jpgDSCF8816.jpgDSCF8798.jpg

オンラインショップ「ハンドメイド通販 iichi(いいち)」にて毛糸を使った作品を出品しています。
加工済みDSCF6934iichiに出店 (2)iichiに出店 (1)iichiに出店 (3)
関連記事

テーマ:アイルランド不定期便
ジャンル:海外情報

09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
About Me

望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

Latest Articles

Twitter

facebook

Instagram

Categories

Click, please!

クリックすると不定期便の読者さんが増える!そうです。

にほんブログ村 海外生活ブログ アイルランド情報へ

Visitors

Monthly Archives

ブログ内を検索する

Links