FC2ブログ

不便な暮らしが人をつなげる

2018.03.06 09:59|地域コミュニティー
なんと、アイルランドに大雪が降りました。
大雪といっても日本の雪国に比べれば大したことはないのですよ。それでも普段積雪がほとんどない国、雪の備えはゼロに等しいところへ何十センチという雪が降ったのですから、それはそれは大変な事態となりました。

雪の日2018 (31)

うわー。家の回りが一面真っ白!
どれくらい積もったのかというと、これくらいです。

雪の日2018 (25)

長靴が見えなくなりそう。
こんなに積もった雪を最後に見たのはいつのことでしょうか。アイルランドでは1982年以来の記録的な大雪ということです。
普段見慣れている風景が、まるで異国のように様変わり。

雪の日2018 (21)

雪はこの後も降り続き、レンスター、マンスター地方の学校は木曜日金曜日と休校になりました。いえいえ、休校どころかこれでは車を出すことすらできません。あらかじめ雪の警報が出ていたおかげで、アイルランドの人々が真っ先に考えたのは食糧の確保です。
「家に缶詰めになる!買い物に行けなくなる!食べ物十分に買っておかないと!」というわけですね。

雪の日2018 (22)

まずスーパーの棚からパンが消え、続けて野菜、肉、冷凍食品といったあらゆるフードが完売。品だしが追いつかず、雪がやって来ると流通が遅れ、従業員も勤めに来られず、店は次々臨時休業に。こんな光景は初めて見ました。

雪の日2018 (9)

学校はお休み、仕事も休み。誰も身動きが取れないまま、雪はしんしんと降り続きました。

道路の視察も兼ねて家族で散歩に出ます。高齢で一人暮らしの女性宅に近づいたので「ちょっと彼女の様子見てこようかな」と言うと夫も「僕もちょうど考えてたところ。行ってあげなよ」。
ドアをノックするといつになくはつらつとした彼女が出てきました。「何も不便ない?大丈夫?」と訊くと「全然平気よ!むしろお天気がこうなってくれて嬉しいわ!だって今日ほどご近所さんが訪ねてきてくれた日ってないもの」と言います。

午後になると、外で遊んでいた子どもたちが家に駆けこんできて「今ジャッキーたちが来るよ!水がほしいんだって~」
これまた近くに住む3人の女性が、いくつもの大きなプラスチックのコンテナを持ってわらわらと我が家にやってきました。
「私たちの水道管凍っちゃって、水が出ないの。水もらってもいいかしら?」「もちろんもちろん、いくらでも持っていってよ」
我が家の台所の水道からせっせとコンテナを満タンにしていく元気な女性陣。

「せっかく来たんだから何か飲んでいったら?寒い冬はこれに限るよ」と言ってブランデーとポートを混ぜたお酒を夫が作り、みんなにふるまいます。
外は雪。ストーブの前でみんなでちょっと強いお酒を飲んでおしゃべりをして、午後の時間はあっという間に過ぎていきました。
不便な暮らしはこうして人をつなげていきます。

翌日の午後になると、今度は隣人から電話がかかってきました。
「今からデイヴィッドが車のタイヤにロープ巻いてタラの町まで行ってみるって言ってるんだけど、何か欲しいものない?」とのこと。
「私たちの食糧は十分あるけど、サムのドッグフードがなくなる!」と思っていた矢先だったので、これをお願いすることにしました。数日前から切れていたブロードバンドのクレジットも買ってきてもらえることに。なんてありがたいんでしょう。

夕方、お財布を持って立て替えてもらっていた分を払いに行くと、同じ道に住むカトリーナとキャシーもやってきました。「キャシーはストーブで燃やすピートが少なくなってたみたいよ」と隣人。我が家だけでなく、近所のすべての家々に呼びかけて買い物をしてあげていたのですね。

一人暮らしの高齢の女性の様子も、隣人と確認し合います。
「昨日は会って元気そうだったけど」「今日も彼女大丈夫だったよ。今朝様子見に行って来たから」
おせっかいでも余計なお世話でもなく、ごく自然に気遣える心が嬉しいのです。

さて、打って変わって子どもたちは初めて見る大雪に大はしゃぎ。ショーンはそりやらスキーやらを手作りして準備万端の様子。
ん?これは壁材?

雪の日2018 (11)

長い長いつららを発見しては根元を折って、棒アイスのように食べてしまう子どもたち。きれい。

雪の日2018 (19)

雪と一緒に嵐も来ていたので、途中こんな風に雪のたまる場所が多々ありました。

雪の日2018 (6)

ここに夫が両手を広げて顔面から倒れ込み、みんな大笑い。
子どもたちも次々倒れ込み、するとここにちょうど通りかかったご近所さんと雪合戦が始まり・・子どもも大人も年など関係なく遊びます。
一日の締めはそり。急勾配の斜面を見つけ、段ボールやプラスチックの袋を使って二家族で何時間も滑りました。

雪の日2018 (16)

こっちこっち!

近所づきあいと聞くと「面倒くさい」というネガティブな反応を示す人も多いかもしれません。
アイルランドにもいろいろな性格の人たちがいます。人付き合いが苦手な人、寡黙な人、面倒くさがりの人、恥ずかしがり屋の人・・・。
でも、どんな性格の人であっても、最低限の人への配慮や心遣いは誰しも持っているものです。
自然災害など困った事態に陥った時、こうした他人に対する心くばりに私たちは救われます。

たまには不便な暮らしもいい。
いえ、できることならわざと不便さを残していける暮らしがいい、と思います。

日中も気温はマイナスのまま。でも、おかげで心はポカポカです。
雪に閉じ込められた3日間は、穏やかに過ぎていきました。

望月えりか @Twitter (心に浮かんだこと、何気ない出来事や印象に残った瞬間を言葉にしています)
にほんブログ村 海外生活ブログ アイルランド情報へ
にほんブログ村

アイルランド田舎生活のフェイスブックページへGo!
オンラインショップ「アイルランド田舎生活の小さなお店」はこちらです。
「ハンドメイド、手仕事のマーケットプレイスCreema(クリーマ)」にてアイルランドの毛糸を販売しています。
オンラインショップ「ハンドメイド通販 iichi(いいち)」にて毛糸を使った作品を出品しています。
関連記事

テーマ:アイルランド不定期便
ジャンル:海外情報

07 | 2018/08 | 09
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
About Me

望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

Latest Articles

Twitter

facebook

Categories

Click, please!

クリックすると不定期便の読者さんが増える!そうです。

にほんブログ村 海外生活ブログ アイルランド情報へ

Visitors

Monthly Archives

ブログ内を検索する

Links