ちょっと不便がちょうどいい

2012.12.09 23:39|豊かな暮らしを考える
我が家のキッチンには食器洗い機がありません。
アイルランドでは、ここ数年で建った新しい家にはこの食洗機が当然のような顔をして居座っているのが主流ですが、私たちはあえて設置しませんでした。

「食洗機があると楽よ~」と散々周りにそそのかされましたが、設置しなかったのには私なりの理由がありました。
私が子どもの頃、夕ご飯のあとに弟と二人で後片付けをするのが習慣でした。食事はたいてい母が作って、その代わり片付けは私たち二人、もしくは父だったりしました。
あの頃はきっと面倒くさいなあ、と思いながらやっていたに違いないのですが、今思うと何ていい習慣だったんだろうと感じます。

お手伝いや家事の分担ということを学んだし、食事やそれを作ってくれた母への感謝の気持ちも芽生えました。
また、食事の後片付けをすることから台所という大人の空間に足を踏み入れることができたようにも思います。

自分の子どもにもそんな風に家事を手伝えるようになってほしいし、家事の分担を学んでほしいと思います。
食洗機があったら家事を学ばない子になるとはもちろん思いませんが、これは私の経験上ぜひ実践しようと思いました。

もうひとつ大事かなと思うのは、食器を洗ったり拭いたりしながら過ごす時間です。
二人で作業をしながら、はたまた台所で明日のお弁当の準備をする母との会話がそこにはあった気がします。家族と言えども、ひとつの空間でまとまっておしゃべりする機会が実は少なかったりして、貴重な時間にもなり得ます。
これが食洗機に食器を入れてスイッチオンだったら・・なんて味気ないんでしょう!

食洗機に限らず、これはあらゆることにあてはまります。

生活のすべてにおいて快適でスピーディーであることを追求してしまったら、確かに効率は良くなるのでしょう。
忙しい現代人にとって、手間ひまはなるべくかからない方がいい。
私だって洗濯機やパソコンや掃除機を持っているし、これら無しの生活は正直考えられません。
でも、そこには落とし穴があるようにも思うのです。
効率が良くなったことで、実は削られているものがある気がします。

便利という言葉を聞いて、思わずそちらに心が流されそうな時。
ちょっと立ち止まって「待てよ、それは本当に私に必要?」と考えてみる。
「これが便利になると私が失うものは何だろう?」と自分の視点で考えてみる。

生活は「ちょっと不便がちょうどいい」と私は思っています。
その不便さの中には、効率は悪くても時間をかけて築いていくもの、家族と過ごす時間や会話、子育て、物を大切にする心、生活そのものをいつくしむ気持ちがあるように思います。
そういったものに人は生かされているのではないかなと思うし、ここから心の潤いとか豊かさというものは生まれるのではないかなあと思うのです。
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テーマ:アイルランド不定期便
ジャンル:海外情報

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望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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