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2019.03.14 09:24|アイルランドの自然
本の編集の仕事で缶詰めになることが多かった1月が、過ぎていきました。
慣れない作業にもかかわらず、少しもストレスを感じることなく、むしろ楽しんで本作りを進めることができました。これはひとえに理解ある編集者さんのおかげです。本を読んでくださった皆さんから、少しずつ感想が届いています。これがとても嬉しく、私の日々の糧になっています。何という幸運に恵まれたことでしょう。ありがとうございます。

ホッと一息つくことのできた2月のある週末に、気の合う女友だちと山登りをしてきました。
「明日ね、ちょっと山に登ってくる。Moylussa(モイロッサ)っていう山」と夫に話すと「えっ、モイロッサに登るの?大丈夫?モイロッサはクレア州で一番高い山だよ」

あら、そうなの?そういえば、我が家の裏庭から遠くに見える山のひとつが、そんな名前でしたっけ。冬になると頂上付近がよく雪で真っ白になっている、あの山かな。クレアで一番高い山は、ここ東クレアにあるのです。

誘ってくれた友人は特別な装備など口にしていなかったし、もしも大変だったら途中で下山してくればいいか。

登山当日は、見事な快晴です。サンドイッチを作って、小ぶりなリュックサックに詰めました。ビニールハウスの中で育つルッコラの葉っぱをたくさん摘んで、サンドイッチに入れました。それから、近所の農家で作られたチーズと我が家のニワトリの卵をゆでて自家製マヨネーズと一緒につぶしたものも。パンは私が焼いている自家製酵母の白パンです。

友人宅は村の反対側、山へ行く途上にあるので、ここで待ち合わせをして私の車はここに置かせてもらうことにしました。彼女の車に乗り込み、お互いの子どもの話をしたりしながら20分も行くと、山の入り口に到着です。
舗装の行き届いた道路から入るその脇道は、一方通行のまさに山道。左手に見えるダーグ湖の湖畔にはゆったりとした駐車場がありますが、友人は

「本当はここに車を停めて山のふもとから登るのがいいんだろうけどね、今日はちょっとずるをして山の中腹まで車で行っちゃおうと思うのよ、いい?」

ふふふ。私は初めて来た場所だし、何度か登ったことがあるという友人について行くことにします。「なーんでもいいよ、おまかせコースで!」

最後はあぜ道のようになってきた道路をしばらく走り、道の脇にあるスペースに駐車して、いよいよウォーキングの始まりです。
植林らしいエリアをしばらく行くと、いたるところから水が小川のように流れ落ちています。水のたまったところにはカエルの卵がたくさん産みつけられていました。

夫は「上級者向けの山なんじゃないか」なんて言ってたけど、大したことないじゃない?

と思っていたのはここまで。
ふと前方を眺めやると、とてつもない傾斜の坂道が目の前に迫っていました。

Moylussaハイキング2019 (2)

こ、これを登るの?
こんなに急こう配の坂は、私は初めて見たかもしれません。バランスを崩せば後ろにひっくり返ってしまいそうな角度の上り坂!息を切らしながら一気に登り切ると、お互いおしゃべりをする余裕もないほどです。

「急勾配はここだけじゃないよ、これからしばらく続くからね~」

よーし、ここまで来たら何としてでも頂上まで行こう!覚悟を決めて歩を進めます。
そんなに高くまで来た気はしないのに、眼下には息を呑むようなパノラマが広がっていました。

Moylussaハイキング2019 (15)

ダーグ湖はシャノン川に直結する細長い湖で、アイルランド島で3番目に大きいのだそうです。
息を深く吸い込むと、森の空気が体の中まで浄化してくれるよう。

Moylussaハイキング2019 (8)

こんなハードなウォーキングにもかかわらず、途中同じように頂上を目指す人々にずいぶん会いました。皆さん軽装です。犬を連れて歩く人、ジョギングをしながら下山してくる女性など、地元の人々にとってはお決まりのコースなのでしょう。私はふくらはぎがどうにかなってしまいそうです。ひいひい。

アイルランドの山は泥炭地であることが多いもの。ここもまた然りです。

Moylussaハイキング2019 (14)

思わず、少し掘り起こして持って帰ろうかしら?と考えてしまうほど。乾かせば最高のストーブ用燃料になります。

砂利道のコースはここまで。ここから頂上までの数百ヤードは木のデッキの上を歩きます。

Moylussaハイキング2019 (9)

それにしてもこのデッキ、幅が狭いな~。
辺りは濃い霧が立ち込め、私たちは完全に雲の中。視界が悪く、さっきまで見えていた下界の景色はどこへやら。

Moylussaハイキング2019 (10)

その上、ここまで来ると風が強く、細いデッキを注意して歩くのさえ大変なのに、強風にあおられ足を踏み外してしまいそうです。
泥炭地はぬかるんでいるので、足をつっ込みたくないなあ。疲労困憊の友人は「エリカ、私ここで待ってるから頂上まで行ってきなよ」と言うので、ここからは一人。気温もぐんと下がって寒い!ときどき小さな悲鳴をあげながら、なんとか無事に頂上までたどり着くことができました。

Moylussaハイキング2019 (12)

頂上にはそこら辺から転がしてきたような石が一つ、どーんと鎮座していました。お粗末なものでも、何かあるとそれなりの達成感がありますね。木のデッキもここで終わりです。

よく見ると、石に金属のプレートがついていました。

Moylussaハイキング2019 (11)

「Moylussa 1,748 ft」とあります。
頂上の標高は1748フィート。え、532メートルしかないの?

そう、いくらここがクレア州で最も標高の高い地点とは言え、ここはアイルランド。日本のような山や山脈は地形として存在しない国なのですね。それにしても532メートルって・・・ちょっと拍子抜けしてしまう高さです。

Moylussaハイキング2019 (6)

雲がだんだん下りてきたので見えにくいですが、クレア州とティペラリー州の間を流れるシャノン川にかかる、いつもの橋が遠くにうっすら見えました。うわー、きれい。

下山はさらに困難を極め、おかげで翌日は案の定ひどい筋肉痛に見舞われました。
私たちの暮らすエリアは木こそ多いものの丘陵地。山特有のしっとりとした空気の中、ふと立ち止まれば聞こえてくるのは風の音と鳥の鳴き声のみ。

心から深呼吸したい時に、また訪れたい場所です。

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と5人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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