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2013.04.03 00:17|豊かな暮らしを考える
夫の母、つまり私の義母は素晴らしい女性です。
「何がどう素晴らしい」と言葉で説明すると、自分が感じていることとどんどんかけ離れていくような気がしますが、女性として、母として、また一人の人間として、私が最も敬愛する人々の一人です。

ここまで年を重ねてきた人の言葉には重みがあります。説得力があります。
私は彼女のずっと後ろを歩く、まだまだ青い人間なのだなあということをいつも謙虚に受け止めながら、彼女から多くのことを学ぶ日々です。

そんな義母とは週に一度のペースでエニスの夫の実家で会い、時にはいろいろな話をします。
彼女の考え方や物言いにハッとさせられることはしばしばですが、今日はその一つをご紹介したいと思います。

何が話の発端だったのか思い出せませんが、義母がこんなことを言います。

「昔はね、もっとみんながお互いのことを考えていた気がするのよ。私たちはそりゃあ貧しかったけど、そういう意味では心は豊かだったのね」

「今はみんなが『自分が自分が』と言って忙しくしてるでしょう?今の人たちは大きなローンも抱えて、生活が大変なのは分かるし、それは昔の私たちとは明らかに違うところ。その代わり私たちが持てなかった贅沢が今の人たちにはあるものね。でもね、昔はみんな自分が苦労してでも家族や友だち、ご近所さんと助け合って生きていたと思うの」


これはまさに今私たちが失いかけている、でもきっと失ってはならない大切な何かのような気がします。


現代を生きる私たちは、他人に費やす時間なんてない、構っている心の余裕なんてない。
そう感じている人たちが、とても多い世の中ではないでしょうか?

それよりも自分の世話をすることで精いっぱい。自分たちの生活を維持するのに一生懸命で、ほかの家族や友だち、ましてや隣に住んでる人のことなんて、はっきり言って自分には関係ないし構っている暇もない。

義母の話は美談だと言ってしまえばそれまでだけど、的を得ているのも事実です。
それどころか、義母の言う人々のつながり、横のつながりが薄れてきているが故に起こっている社会問題が、近年多発していると思いませんか?
家庭内での暴力や虐待、ひきこもり、窃盗、孤独死、混雑する電車内でのサラリーマン同士の喧嘩・・・。ぎすぎすした息苦しい社会を作り上げている一因は、ここにあるような気がしてなりません。

この薄れゆく横のつながりは、私たちの意識がほとんど気づかないところで少しずつ進行しているようです。私たちが忙しさにかまけている間に、いつの間にか忘却されているのです。

「仕方ないじゃん、もうそういう世の中なんだからさ」というのは、私はやっぱり違うと思います。
他人がどんどん遠くなる、というのは社会を形成する骨格にかかわることです。

「豊かな暮らしを考える」というこのカテゴリでこれからも記事を書いていきたいと思いますが、心豊かな暮らしを得るにはそんな横のつながりが、大切な要素の一つではないかと強く感じます。

テーマ:アイルランド不定期便
ジャンル:海外情報

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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