義弟のジョンの長男ティムは9月からセカンダリースクールに入ります。セカンダリースクール(Secondary School)とは辞書には中等学校と訳が載っていましたが、要は日本の中学校と高校に相当する6年間の学校のことです。ティムは12歳ということになります。

それが、地元のセカンダリーに入学の希望届けを出したところ、問題が発生したのです。
ジョンと彼のパートナーは二人ともアイルランド人ですが、自分たちはカトリック教徒ではないと自負していて、子どもたちをすべて無宗教の小学校に通わせていました。つまり、アイルランドの一般の公立学校はどれもカトリック系、ということになります。これはどういうことかというと、学校の授業の中にカトリックについての教義がありますし、聖餐式などカトリック教会が行う宗教儀式を学校の行事として行っているということです。
アイルランドの学校はそもそもカトリック教会の尼僧や僧侶たちによって運営されてきた歴史があり、今でこそ教師はただの教師であって僧侶でも尼さんでもないのですが、それにもかかわらず未だに学校と教会との癒着が存在することは確かなようです。

アイルランドでは、子どもが生まれるとすぐに教会で洗礼式を執り行います。更に小学校在学中に聖餐式とカトリック教徒であることの認定式があります。この二つはどちらも学校行事として行われるのが普通らしく、それゆえにカトリック教徒でない子どもが公立学校に通うとその期間中ものすごい疎外感を覚えることになります。
それをジョンと彼のパートナーは嫌って、わざわざ無宗教の小学校に通わせていたわけです。
しかし、このプロセスを経ていないティムを、今度はセカンダリーが拒否した形になったから大変です。こんなことが果たして許されるのか、教育の義務はどこへ行ったのかと私でさえ怒りを感じた出来事でした。

何度も学校と交渉を重ね、知り合いに協力を求めた結果、ティムを無事地元のセカンダリーに入学させる手はずがつきましたが、ジョンと彼のパートナーは下の長女、次女を無宗教の学校から公立学校に転校させました。こんな苦い経験はもうごめんだからです。となると、おそらく長女と次女はこの二つの宗教儀式を受けることになります。
頭では、今子どもが理解できなくても10年後、15年後には分かってくれるのだからと親の信念を貫きたいところですが、学校の行事の輪からはずされている我が子を目の当たりにするのはとてもつらいことです。信仰心はないのに、子どもたちがかわいそうだからという理由だけで受けさせる親が実際はかなりいるのも事実のようです。この儀式を行うためには洗礼されていなければならないので、教会で洗礼式も受けさせなければなりません。

カトリック教徒ではないのにこのような道を子どもに歩ませなければならない、他に正当な選択肢がないように見えるアイルランドの学校の実態は、子どもを持つ親としては他人事ではありません。近い将来、この選択を迫られる時がやってきます。

テーマ:アイルランド不定期便
ジャンル:海外情報

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望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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