2017.04.20 09:34|外から見る日本
ここ数年ほど、和食を作ることがめっきり減りました。
お醤油や味噌の味は食べると懐かしくて嬉しいのですが、日本の食材も自由に手に入らない中では限界があります。
それに、私の暮らすアイルランドという土地で育たないものを流通に依存してまで食べ続けようとする食生活にも、疑問を抱くようになりました。自分のふるさとの味にしがみつくよりは、私が変わればいいのでは?と自然に思えるようになったのも、13年という時のせいなのかもしれません。

なんて、かっこいいようなことを言っておきながら、数か月前にリムリックに住む友人からこんなものをもらい、おいしくいただきました。

静かなうどん

UDONです。
日本のものではありませんが、食べてみれば正真正銘うどんの味、うどんの食感。

どうにかスープも作って、畑にある青菜やらを軽く煮て、なんちゃって熱々うどんをディナーで出してみました。
子どもたちはヌードル全般が大好きなので、「Ohhh, looovely!!」と言って大興奮。にせものだけどね・・。
夫のパットさんも「日本にいるみたいだ・・!」とやたら感動して食べてくれます。にせものだけどね・・。

アイルランドの田舎で家族4人がうどんをすする、というのはなんだかおかしな光景です。が、更におかしいことに、このうどんタイムがやけに静かなのです。

そう。誰もうどんをすすっていません。
「麺をすする」という行為は、西洋の食習慣にはありません。音を立てて食べること自体がなく、スパゲッティなどもくるくるとフォークに巻いて器用に食べますね。
そもそも「すする」というスキルを持っていない彼らに「すすりなさい」と言ってもできない人がいたりします。
試してもらったことはありませんが、パットさんも我が子どもたちもおそらくこれにあたります。

かくいう私は日本人なのだから、すするスキルはもちろん完備しています。
しかし、静かにうどんを食する3人と並んで私だけがズズズズとやるのは、どうにも気が引けます。
ややもすれば、子どもたちから「マミー!マナーはどこに行ったの?」と怒られそうです。
これも海外在住者のさだめなのでしょうか。

6月に3年ぶりの帰省をします。うどん、すすれるかしら。


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2014.12.21 23:32|外から見る日本
そういえば、この前ご紹介させていただいたアイルランド放送協会RTÉのマリアン・フィヌーカン(Marian Finucane)さんのラジオ番組で、「東京のとあるレストランがクリスマスイブの日にカップルの来店を禁止している」という新聞記事を紹介していました。
「このレストランによると、イブの日を一緒に過ごすカップルは独り身のお客さんを悲しくさせるからというのが理由」ということで、日本人の私は思わず笑ってしまいました。

「文化圏の異なる国とは言え、こんな話は聞いたことがないですねえ」というのがマリアンさんのコメントでしたが、確かにこれは日本ならではですね。

キリスト教圏でない日本と、カトリックのアイルランドを比較することは最初からできませんが、日本のクリスマスはどちらかと言うとカップルが対象なのかなあと思います。学校や会社などでパーティーをしたり、子どもたちのところにはサンタが来たりということはもちろんあるのでしょうが、誰よりもカップルにとってクリスマスは一大イベントですね。

商業的なイベントとしての日本のクリスマスがどんな経緯でこうなってしまったのかは分かりませんが、アイルランドなどキリスト教圏の国々ではクリスマスは家族と過ごすというのが習慣です。

日本のレストランの「カップル来店禁止」に当惑するマリアンさんのコメントも、アイルランド人にとっては当然の感覚です。

それ故に、アイルランドでクリスマスの時期にさびしい思いをするのは独身の人たちではなく、身寄りのないお年寄りやホームレスの人たちなど、家族のいない人たちです。この時期になると毎年必ずメディアで取り上げられ、ダブリンでは多くのボランティアの人たちがクリスマスディナーをホームレスの人たちに提供したり、お年寄りにディナーを宅配するといったサービスが行われているようです。家族を何よりも大事にするアイルランドで、これはとても深刻な社会問題なのです。

クリスマスツリー2014
(今年も本物のモミの木に飾りつけをしていく息子のショーン)

ところで、日本のクリスマスにはもう一つの不思議があります。日本ではなぜかクリスマスの日よりも前日のクリスマスイブの日のほうが大事ですね。
よくアイルランド人から「日本にもクリスマスはあるの?」と訊かれますが、私はいつもこの話をします。「だから25日のクリスマスの日にはね、デパートのクリスマスデコレーションが下ろされて、お正月の飾りに代わるのよ」

クリスマスよりもお正月が大事。これも日本の風景だなあと思います。


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2014.10.23 01:56|外から見る日本
こんにちは、アイルランド田舎生活の望月えりかです。
ただ今、日本に帰省しております。昨日の朝の便で、成田から入国しました。

2年ぶりの日本。2年ぶりの自分の国。

今はまだ日本にいるという実感がなく、何が何だか分からないというのが正直な感覚です。
自分の暮らした横浜市青葉区の団地の家にいるのも不思議で、この場所を知っているのに知らないような、過去と今が交錯したような、何とも形容しがたい感覚なのです。

夕方の時刻、この静かで緑の多い団地の中で、ホッと嬉しい発見がありました。
外で虫が鳴いている。

10月のこの時期に日本に戻ったのは、数年ぶりのことです。この季節にも虫が鳴いていた、ということさえ覚えていなかったので、少し得をしたような気分でした。

どんな名前の虫なのかは分かりませんが、複数の種類の小さな虫の音が、開けた窓から途切れることなく聞こえてきます。
そうそう、これこれ!
日本に住んでいた頃は当たり前に聞いていた虫の音が、アイルランドに暮らし始めてしばらくは無性に恋しかったものです。

日本から離れて11年目の今年。
時間が経てば経つほど、私にとっての故郷日本が遠のいていくのだろうかと思うと、少し寂しくもあります。

そんなことをぼやいたら、夫が「君にとっての故郷はいつまでも変わることがない。君が育った故郷はこれからもずっとここなんだよ」と言います。

そうですね。本当にその通りですね。

これからもアイルランドに暮らしていく私ですが、日本人であり続けることに変わりはありません。
この愛する母国、日本をいつまでも見つめながら、微力ながら私にできることをこれからも発信していきたいと思います。

時差ぼけで眠れない今夜も、雨の合間に虫の音がかすかに聞こえてきます。



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2012.07.31 22:22|外から見る日本
実家に着いて間もなく、郵便で段ボール箱いっぱいのお米が送られてきました。
私の母方の叔母夫婦からのおいしいおいしいお米です。
私の母は福島の農家の生まれです。

震災後は、そんな理由もあって一部の報道に傷ついたり、不安に感じることが多かったです。
福島の親戚が今どんな思いで作付けをしているんだろう、どんな思いで野菜を収穫しているんだろうと考えるだけで胸が痛みました。

母がお米をこの叔母夫婦から直接買い始めた話は以前から聞いていて、「市販のお米と比べ物にならないほどおいしいの」と何度も話すのです。

数日後には叔母夫婦のメインの作物であるきゅうりのほかに、じゃがいも、いんげん、トマト、アスパラガス、自家製味噌などが詰められた箱が送られてきました。どれも採れたて、新鮮な野菜です。

京子さんの野菜


数年ぶりに叔母に電話をしてお礼をすると、叔母がこんなことを言います。
「安心して食べてね~。うちんとこの野菜は全部テストもしてあって大丈夫だから。セシウムなんかも入ってないからね~」

これを聞いた途端、思わず涙があふれてきました。

「アイルランドに住んでなければ、買って支援するところなんですけどそれができずにすみません」というようなことをどうにか言うのがやっとでした。

子どもの頃は夏休みのたびに遊びに行っていた福島。今はフクシマなどと片仮名で表記されたりして、すっかり汚名を背負ってしまいました。なんて悲しいことでしょう。

子どもは言葉の吸収が早くて、一週間も福島の田舎にいるとすっかり福島弁になって横浜に帰っていたのを思い出します。
「お晩です~」、「そうだばい~」というあののんびりとして優しい福島弁が、今でも懐かしく心に響きます。

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2012.07.15 11:30|外から見る日本
2年ぶりの日本への里帰り。
実家は神奈川県横浜市青葉区にあります。

去年の震災後、日本はどうなっているのかしら、成田に下りた途端何か変化を感じるのかな・・などと思いながらの旅路でした。
到着してみると・・あ、いつもの日本だ。私の知っている日本だ!変わらない景色がそこにはありました。ほっとした瞬間でした。

3週間ほどの滞在ですが、故郷を満喫しています。母国とは本当にいいものです。

久し振りに日本に帰ると、ここに住んでいた頃には当たり前だと思って気にしていなかったことがふと新鮮に感じられたり、自分の国なのにアウトサイダーとして観察しているような不思議な感覚におそわれます。

いろいろなものに対してこれを感じますが、その中のひとつは「そよ風」。
実家は団地の1階で、家にいる限りすべての窓が開け放たれています。
その窓から入ってくるそよ風のなんと気持ちのいいこと!
レースのカーテンが大きく膨らんで、生温かくやわらかなそよ風が外の木々や植物の香りと共に家の中を吹き抜けます。

アイルランドは夏でも涼しいので、こんな風に一日中窓をすべて開けて過ごす日はほとんどありません。
そして、アイルランドに吹いている風はもっと厳しくて冷たくて、とてもじゃないけど楽しめるような代物ではありません。

外ではセミも鳴き始めて気温が上がっているのでしょうが、こんなに穏やかな気候の日本は恵まれているなあと感じます。

横浜市と言えど、車で少し行けば畑も田んぼもある田園風景が広がります。
寺家町2012
父の車で横浜市青葉区寺家町に連れて行ってもらいました。

田んぼがちょうど美しく見える季節です。
そよ風が吹くと、田んぼの稲の上で風の道筋が見え、「あ、風が見えた!」と子どもの頃を思い出します。

寺家町2012 (1)

夕方に差しかかると田んぼの上空は赤とんぼでいっぱい、自転車で来たらしい近所の小学生の男の子たちが田んぼの脇でタニシやらをとっている風景も、いかにも日本らしくホッとしました。

まだ夜は涼しくてクーラーも要りません。今夜もそよ風と共に、窓からの虫の声を聞きながら眠ります。
幸せだなあ。

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発信者の紹介

望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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