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夫のパットさんからちょっと面白い話を聞きました。
エニスの実家近くを歩いていたら近所に住む80代のアグネスに会い、立ち話をしていたのだそうです。
お姉さんの様子はどうなの、お母さんは元気、など訊き合っているうちに彼女がこんな話をします。

「小学生の私の孫がね、学校のお友だちの家にお泊まりに行って、帰宅後私の娘にこんなこと言うんですって。

『ママ!昨日の夜の○○ちゃんちの夕ご飯、誰が作ったと思う?○○ちゃんのママが作ったんだよ!パパじゃないの!信じられないでしょう?!初めて見た~』」

アグネスは続けて

「時代は変わったものよねえ。50年前だったらこんなこと絶対にあり得なかったのに。今の社会は女性が自由で生きやすい方向にどんどん向かっているわよねえ。ホント、いいことだと思うのよ」

このお孫さんの友だちのお宅は、おそらくお父さんが主夫でお母さんが外に仕事に行っているのでしょうね。
アイルランドでは、ときどきこんな家庭の人たちがいます。
そうでなくとも、両親が共働きで経済的には女性の方が一家を支えているような家庭もあります。

いいなあと思うのは、このような流れに対しメディアや社会全体がああだこうだと騒ぎ立てないことです。
誰かに言われれば「ああ、そういえばあの家ってそうかも」という程度で、変化していく男女のあり方や社会の様子に何ら定義づけをすることなく、あるがままに受け止めているというのでしょうか。「イクメン」のような新語で人々をくくったり、一時的なブームや現象という風にとらえることもしません。それだけ人々の暮らしに選択肢があり、自由度が高いということなのかもしれません。

「でもさ、40年前とか50年前と比べたら、家庭における男性や社会の中での女性の進出ってずいぶん変わってきてるんじゃない?」と改めて指摘すると、性別を問わず皆さん「そうだね~、ホントずいぶん良くなってきたよねえ。時間はかかったけど女性も頑張ってるし男性も変化に抵抗することなくサポート姿勢だし、アイルランドはいい社会の形になってきてると思うよ~」という返答です。

長いスパンで物事や人々が変わっていくには、こんな自然で豊かな受容性がキーになるのかなと思います。

ところで、数年前に出てきた「イクメン」という言葉。今もあるのでしょうか?
調べてみると、子育てする男性の略語で積極的に育児に関与する男性のこと、という定義だそうです。
日本語、特に造語と言われるような新語や流行語はアイルランドに暮らす私の耳にはほとんど入ってきません。両親との会話やインターネット上で気がつくことはあっても、その言葉がまだ生きているのかはたまた死語と化しているのかまでは、私には分からないのです。ま、使う機会もほとんどないので不自由はしていないのですが・・!

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村の公園で子どもたちを遊ばせていると、近所に暮らすモーラさんが孫のコリンを連れて公園に入ってきました。お天気のいい日で公園には私たち以外誰もおらず、モーラさんはベンチに座る私に「こんにちは、お元気?」とあいさつをしてくれて、横に座りました。
コリンと私の子どもたちは同じ小学校に通っているので、学校の話や先生の話、ハーリングの話などしていると、いつの間にかモーラさんが昔話をはじめます。

ほら、この道の角にはね、昔小さなよろず屋があったのよ。あなたが来るずっと前になくなってしまったけど。私たち夫婦は二人ともラウス州の人間でしょう?それがアイルランド西部のこんな小さな村に突然住むことになって、戸惑うことも多かったわよ。
この角のよろず屋に初めて入った時もそう。
私はボールペンを探していて、店番をしていたミセス・ドネランに「ペン(Pen)はありますか?」と訊いたの。そうしたら、彼女ったらぶっきらぼうにこんなことを言うのよ。
「ペン?あなた今ペン、って言ったの?あなた、ペイズリーの国から来た人間じゃない?この国ではね、ペンのことはバイロ(Biro)と呼ぶのよ!」
よそ者扱いもいいところでね。慣れるまでに苦労した。

モーラさんと旦那さんの故ショーンはラウス州(Co. Louth)の出身です。ショーンの仕事の関係でクレアに引っ越してきたのだそう。日本語で言う転勤、ですね。アイルランドではかなり珍しいことです。

さて、ラウス州はダブリン州からさらに北に行ったところにある東海岸沿いの州で、いわゆる北アイルランドとの国境に隣接しています。そんな土地柄ですので北との関係も深く、昔はトラブルも多かった地域です。

ミセス・ドネランが言った「ペイズリー」とは当時の北アイルランド自治政府の首相イアン・ペイズリー(Ian Paisley)のこと。
プロテスタント系で連合王国派の最右派である民主連合党(DUP)を創設した人物です。そんな政治的背景のあるペイズリーは、共和国側のカトリックのアイルランド人たちにとっては悪魔そのもの、大の嫌われ者でした。ミセス・ドネランは、プロテスタントという含み(嫌味)を表現して「ペイズリーの国」と言っていたのですね。

正しい英語では確かにボールペンはペン。鉛筆はペンシルと呼ばれますね。
しかし。アイルランドではペンという言葉をほとんど聞きません。
じゃあボールペンのことをアイルランド人は何と呼ぶのでしょう?これが前述の「バイロ(Biro)」です。私はアイルランドに来た当初、バイロの意味が分からずに戸惑いました。何その単語?初めて聞いた!っていうか日本人は英語を習う時に「This is a pen.」から始めるのに、そのペンがペンじゃないってどういうこと?!

前述のように、モーラさんご夫婦の出身地であるラウス州は、アイルランド共和国の中にあります。更には、モーラさんご自身熱心なカトリック教徒です。北アイルランドの人でもなければ、ペイズリーの指揮するプロテスタント系でもないのに、フィークルの村に来た途端このような扱いを受けたご夫妻。さぞかし大変だったことでしょう。
ラウス州は国としてはアイルランド共和国でも、アイルランド人たちの感覚としては共和国と北のちょうど中間地点にあるような感覚の州なのかもしれません。

その発端となった「ペン対バイロ」。
皆さんもアイルランドにいらした際には、ぜひ使ってみてくださいね。

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アイルランドで、来週また新たな国民投票が行われます。
アイルランドの国民投票といえば、前回の同性婚合法化の是非が問われた投票がまだ記憶に新しいかもしれません。しかし今回の国民投票へ向けたキャンペーンは、前回の投票とは正直比較にならないほど切迫、緊迫しており、多くの国民が当事者意識を持って臨んでいる空気があります。アイルランド国民にとって、より身近な問題を問う投票だからです。

来週の国民投票は、現存の人工妊娠中絶禁止法の廃止をめぐる「Yes」か「No」かの投票です。

日本でも一部報道されているかもしれませんが、アイルランドの中絶禁止法の歴史と現状をかいつまんでご紹介します。

アイルランドでは、1983年にもこの法についての国民投票が実施されています。
当時の投票では、母親と(まだ生まれていない)胎児の生命は同等であり、同等の生存権を持つということを国民が認める結果となりました。80年代のアイルランドといえば今よりもずっと宗教色が強かったでしょうし、中絶を殺人とするカトリックの教えがそのまま反映された形です。

この法には例外や特例は一切明記されていませんでした。妊娠した女性は、どんな状況であれ出産しなければならない。それでも中絶を希望する女性たちが後を絶たず、彼女たちに唯一残された選択は主にイングランドなど海外に渡航し中絶手術を受けることでした。今現在でも、こうした女性が年間数千人はいるとされています。

中絶禁止法首相
(廃止派のキャンペーンをするヴァラッカー首相)

これが2013年、初めて人工妊娠中絶の一部が合法化されました。
きっかけは、ある一人の女性の死でした。
ゴールウェイ在住でインド出身のサヴィータさんの妊娠は、死との向かい合わせでした。流産しかかっているとして医師に中絶を求めたサヴィータさんとそのパートナーはこれを拒否され、サヴィータさんはその後敗血症により死亡したのです。
これを機に、母体の命が危険な状態にある場合に限り、人工妊娠中絶を認める法案が可決されました。
たった5年前のことです。

妊娠する女性たちの中には、非常に難しい状況に置かれた人たちも少なくありません。例えば性犯罪被害により妊娠を余儀なくされる女性。また検査の結果明らかに胎児に異常が見られ、生まれても生存する可能性が低いと告げられた女性。こうしたケースでも、中絶という選択が認められていないのが今の中絶禁止法です。

今回の新法案では、希望があれば妊娠12週目までの中絶を無条件に認め、特別な場合に限っては12週目以後も可能とする、としています。つまり、望まない妊娠であれば誰でも中絶手術を国内で受けられるようになるわけです。

中絶禁止法廃止派

日本をはじめ多くの国、ヨーロッパ諸国でも中絶は認められ「産むか産まないか」という選択はその女性の判断にゆだねられています。
産むのはその女性なのだからそんなの当たり前だ、と言ってしまえばその通りかもしれません。母体は彼女のものであるし、彼女が妊娠をし出産をするのだから、当然ではないか。
女性たち各々の決定を国が信頼し、尊重する社会として中絶を認めるべきであるというのが廃止派(Yes派)の主張です。

一方で維持派(No派)は、お腹の中のもの言わぬ胎児の生きる権利を訴えます。女性の権利という名のもとに、生まれてくる子どもの権利を奪うことは間違っている。
いかなる理由により、この世に生まれてくるはずの新しい命を絶つこと。カトリックの国だからという宗教の話ではなく人間の倫理として、これはしていいことなのでしょうか。仕方がないと諦めていい事柄なのでしょうか。

中絶禁止法維持派

いろいろ調べてみると、今でも中絶を禁止している国というのはアイルランドに限らず世界にいくつもあるのですね。法整備が進んだのも近年に入ってからの国が多く、全面的には禁止をうたっても数々の例外を認めるなど、どの国も慎重に扱っていることがうかがえます。

10代で妊娠し、望まない妊娠ではあったけれど出産して育て、苦労もしたけれど産んでよかった、育ててよかった、という人を知っています。
涙の中、イングランドに渡り中絶手術を受け、孤独で悲しく心の傷は負ったけれど、あの時の決心に悔いはないという人も知っています。
どちらのストーリーも分かる。
どちらに投票したとしても、必ず誰かが置き去りにになる。正解のない、非常に悩ましい選択です。

アイルランドという国が、この国の社会として生命をどうとらえるのか。
そして、女性の権利とは何なのか。

中絶が国内で可能になれば、今よりも中絶する女性が増えるのは目に見えています。
命がないがしろにされる社会は嫌です。女性が負担を強いられる社会も嫌です。

難題を突き付けられ、投票1週間前となった今でも葛藤の中にいる国民は多いのではないでしょうか。

投票は来週の金曜日。
一体どんな結果が待ち受けているのでしょう。アイルランド社会は変わるのでしょうか。
息を呑みながら見守っています。

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「アイルランド」というとのどかなイメージが定着しているかもしれませんが、政治も経済ももちろんあります。
どうやったって信用できない態度の政治家たちも、悲しいかな、ちゃんといます。

さて、ここ数週間とういうもの、アイルランドは政治の話題で持ちきりです。
今週の金曜日に行われる総選挙のため、アイルランドの町中はどこも選挙のポスターでいっぱい、メディアも連日トップニュースで最新の動向を報道しています。

アイルランドは車社会なので、運転中の国民に見てもらうようなポスターが目立ちます。

選挙ポスター2

こちらは、エニスに入る途中の道路。上には電車が通っていてその下を車が通過するのですが、アイルランド鉄道は「自分たちの所有地の中にポスターを貼るのは違法」として警告しているのだとか。選挙のためなら何でもする・・どこの国でも同じようですね。

選挙ポスター

テレビでは、毎週のごとく各政党の党首が集って行われる生中継の討論会が放送されています。
こちらは先週行われたリムリック大学での番組から。



投票は金曜日、フィークルでは毎回子どもたちの通う小学校が投票会場となるため、学校はお休みです。投票は、朝の7時から夜の10時まで受け付けています。「学校休み~」と喜ぶ子どもたち。

バブル崩壊後のアイルランドで政権を新たに握った統一アイルランド党(と訳すそうですが・・)と労働党の連立が続くのか、それとも前政権の共和党が復活するのか・・北アイルランドの社会派政党、シンフェインがどれだけ伸びてくるのか?
政治にはそれほど興味のない私も、これだけ騒がれるとつい討論番組を観てしまったりして。

ところで皆さん、アイルランドの首相は誰だけご存知ですか?

エンダ・ケニー

統一アイルランド党のエンダ・ケニー(Enda Kenny)。メイヨー州出身の政治家ですね。
ちなみに、アイルランドでは首相のことをPrime Minister(プライムミニスター)ではなく、Taoiseach(ティーショックという感じで発音します)と呼びます。これはアイルランド語で「チーフ」という意味だそうです。
この選挙後に一体誰がティーショックになっているのか?エンダさん、覚悟しておいた方がよさそうですよ!


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今月6日、アイルランド史上最高齢を記録した女性が亡くなりました。彼女の年齢は113歳と140日、移民先のアメリカ、ニューヨークにて永眠ということです。

最高齢のアイルランド人

1902年生まれのキャトゥリーン(Kathleen うーん、どういう片仮名表記をするんでしょうね、キャサリンCatherineでもないし・・)さんは、19歳でタイタニックの最後の停泊地でもあったコーク州のコーヴの港からアメリカ行きの船に乗り、渡米後は特別施設で職を得ます。

実はこの方、私の暮らす村フィークルの出身なのです。
村のメインストリートで生まれ育ったキャトゥリーンさん、旧姓もヘイズ(Hayes)というフィークルによくある名字です。

彼女がアイルランド最高齢を記録した際には、話題となって全国ニュースにもなりましたが、フィークルでは小学校の子どもたちがアメリカに暮らすキャトゥリーンさん宛てに手紙を書くなど、地元ならではの交流も行われていました。

知り合いの誰々が彼女の親戚だとか、最高齢の記念のパネルを彼女の生家の壁に取り付けるセレモニーが行われたとか、フィークルでは何かと話題になったキャトゥリーンさん。彼女の訃報はアイルランド全国でもトップニュースでした。

アイルランドは特に長寿の国として知られているわけではありませんが、お年寄りが元気だなあと感じます。
(こちらの記事にいろいろ書きました→「元気印のアイルランドのお年寄り」)
お年寄りが元気な国って、豊かだなあと思うのです。



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望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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