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2021.04.03 08:10|アイルランド人
我が家から歩いて5分ほどのところに住む農夫のジェイピー・マクナマラさんは、生まれも育ちもこの土地のひとです。
数年前のある日、パットが散歩中にジェイピーに会ったので立ち話をしていると、「ところでご近所さんのお葬式には行ったの?」と訊かれ、「えっ、僕たちの近所で誰か亡くなって、もしかして知らずに過ごしてしまったの?」と一瞬慌てたと言うのです。するとジェイピーは「いやいや、ここのご近所さんじゃなくて、君のケリーのお父さんのご近所さんだよ、先週亡くなったでしょう?」

「??」

パットはやっとジェイピーの言うご近所さんが誰なのか思い当たりました。

パットの父はケリー州北部の農村の出身で、実家のお隣さんにスタック家という家族がいました。その息子の一人が、偶然にも私たちの暮らすここ東クレアのタラの町の学校の校長先生をしていたのです。ずいぶん前に退職をした彼が亡くなり、ジェイピーはこの人のことを「あなたのご近所さん」と呼んでいたのです。

ブナの並木道

おそらく、私たちの暮らす地元の人の誰かが「パットのお父さんはケリーの出身で、元校長先生のこの男性と同じ村の出身、それもお隣さん同士だった」という情報をどこかで入手し、噂話をしていたのがジェイピーの耳に入り、その結果こんな会話に至ったのでしょう。でもこれって、ちょっとおそろしいほどの情報網だと思いませんか。まるで素性調査みたい。

私の知っている田舎のアイルランドの人々は、基本的に知りたがり屋さんが多いものです。
今話している相手がどこの誰なのか、ある程度まで知っていないと落ち着かないし、気がすまないのですね。事実、アイルランド人って人の話ばっかりしてる。これはアイルランドという国の大きさを象徴していて、一見何のつながりもないように見える相手でも、例えば自分の地元の同級生と同じ大学に通っていたとか、奥さんが同じ職場で働いていたことがあるとか、どんな些細なつながりでも見つけるとホッとするようなのです。同じ穴の狢、というのが最大の安心材料なんですね。
この国の者ではない見かけの私は、警戒心丸出し、腫れ物にでも触るようなぎこちなさを隠せない初対面のアイルランド人と会話することがときどきあります。それが、私が口を開いた途端、「あれ、この人はアイルランドに長く住んでいるんだな」ということが分かるらしいのと、会話の内容によっては「この人はアイリッシュと結婚していて、子どもは地域の学校に通っているんだな」ということまで分かった途端、あからさまに距離を縮めてくるのです。ま、いいんですけどね・・。

アイルランドだけではなくて、田舎の人たちはどこに行っても似たようなものではないでしょうか。
子どもの頃に母の実家である福島の村に遊びに行っていた時のことを今でも覚えています。いとこや近所の子どもたちにまぜてもらって遊んでいると、農作業から戻ったらしきお年寄りの女性が前から歩いてきました。私を見た途端立ち止まって、「ありゃ」と言ったまままじまじと顔を覗きこんできます。「あんた、どこの子じゃい?」
「あの、大野の、本家のちえこの娘です」と名乗ると一瞬考えてから急に笑顔になって「あ~~、ちえこちゃんのぉ!東京から来だのかい」

ジェイピーの話す英語には、この地域特有のアクセントがあります。標準語(?)を話す人々にとっては、きっとこの福島弁みたいに聞こえているんだろうな。見えないところで一体どんな噂話をされているのか。田舎の人々のネットワークに脱帽の出来事でした。

望月えりか 初著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」
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2020.09.02 17:18|アイルランド人
4月に生まれた私たちの3人目の赤ちゃんは、名前をDarachくんといいます。この綴りだけ見てもどう発音していいやら分かりませんよね。片仮名表記にすると、かなり妥協してダロックでしょうか。アイルランドでは人によって頭の「Da」が「ダ」よりは「ド」に近い発音になるし、末尾のchも正しくは「ク」ではなく、アイルランド語特有の息を抜くような音で、日本人には正直発音しにくい名前かもしれません。

アイルランドの赤ちゃん名前

アイルランドでは、毎年決まった時期になるとこの年最も人気のあった赤ちゃんの名前というのが発表されます。ランキング化された名前のリストを見ていると、近年の傾向やトレンドというものがやはりあり、おもしろいものです。

2019年の男の子の名前人気ナンバーワンはジャックJack。続けてジェイムスJames、ノアNoah、コナーConor、ダニエルDaniel。
女の子の名前の第1位はエミリーEmily、そしてグレイスGrace、フィアFiadh、ソフィーSophie、ハナHannahと続きます。

ジャックは2007年から2016年を除いて毎年1位ということで、昔からある名前ですが不動の支持を得ています。
ジェイムスやダニエル、グレイス、モリーなど古典的なアングロの名前が未だに人気がある一方で、中にはアミリアAmeliaやジェイクJakeなど、今までアイルランドにはほぼ存在しなかった新鮮な名前も並びます。ほかのヨーロッパの国々から来た名前ということでしょうか。

一方でタイグTadhg、オーシンOisín、イーファAoife、クィーヴァCaoimheなどのアイリッシュネームの発掘にも積極的なアイルランド人。1950年代や60年代に生まれた赤ちゃんの名前はジョン、パトリック、トーマス、マイケル、ジェイムス、メアリー、マーガレット、エリザベス、アン、キャサリンだったのに対し、これも比較的新しい現象です。
1969年に生まれた女の子の赤ちゃんの実に20パーセント以上がメアリーと名付けられたそうですよ。

ご興味のある方はこちらの新聞記事を読んでみてくださいね。
去年アイルランドで一番人気のあった赤ちゃんの名前

さて、ダロックくんの名前はこのリストにあるかというと・・・どこにもありませんでした。
実際、「赤ちゃんの名前なんて言うの?」と訊かれて「ダロックです」と答えても「えっ?何?」と必ずと言っていいほど訊き返されるんですね。最初は我が子の名前ながら私の発音がおかしいのかと思ってドキドキしていましたが、どうやらそういうことではないようで「Darachと書いてダロックです」と説明すると「ああなるほどそうなのね、いい名前ね」と分かってもらえます。親としては特に奇をてらってつけたわけでもなく、この名前を選んだパットさんいわく「数は多くないかもしれないけど昔からある名前」なんだそうです。

名前の由来は、パットさんの一番好きなアイルランドのネイティブの木、オーク。ダロックは「オークの木のような」という意味です。

「それにね、エリカのお腹の中でもまるでしっかりと根を張ったように動かなかったからね、この名前がぴったりだよ」

そうなんです。ダロックくん、逆子ちゃんだったのです。

オークの木は、我が家の姓であるオコナー(O'Connor)の紋章にも使われています。

オコナー紋章

ダロックくん。オークの木のようにのびやかに育っていってほしいものです。

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2019.12.04 23:40|アイルランド人
鼻をかむ。
いよいよ寒くなってきたこの季節、よく見られる光景ではないでしょうか。
必需品のポケットティッシュで鼻をかんではティッシュを捨て、かんでは捨て・・・。
しかしこれ、アイルランドではやや事情が違います。

鼻をかむという行為は多くの国に共通して存在しますが、アイルランドではまずこれが二派に分かれます。
ずばり、ペーパー派とハンカチ派。

「えっ、ハンカチで鼻をかんだらそのハンカチどうするの?」
「どうやって洗濯してるの?」
など、ハンカチで鼻をかむことに抵抗感のある方が多いかもしれません。「西洋人のやること」という観念もあるかもしれませんね。

実際に見ているとハンカチ派は少数で、ややオールドファッションになりつつあるようです。
みんなでおしゃべりをしている時、誰かがポケットに手をつっ込みくしゃくしゃになった地味なハンカチを取り出しては鼻をかみ、それをむろんたたみもせず、使った面を無造作に包む感じで丸め、またポケットに収納。それで会話が途切れることはなく、誰も何も言わず、おしゃべりは続きます。

ポケットティッシュのなかった時代には大人も子どももみんなハンカチを常に持っていたそうで、鼻をかむ時は必ずハンカチでした。ハンカチを広げ、まだきれいな部分を見つけてそこに向かって鼻をかむ。1週間~2週間はもった、なんて話を聞いたこともあります。本当かな~。

一方のペーパー派は、更に分けるとティッシュペーパー派とキッチンペーパー派がいます。どちらも一回限定の使い捨てではなく、ハンカチと同様に何度も使い回すのが特徴。キッチンペーパーのほうが大きく丈夫なので使いやすいらしく、私の周りにはキッチンペーパー派が多いです。台所でだけ使うんじゃなかったんだ~。多目的、キッチンペーパー。

鼻をかんだあとのハンカチやティッシュを何度も使うアイルランド人たちを初めて見た時、私は特に不潔とも何とも思いませんでした。「ふーん、そういうものなんだなあ」というところ。「鼻をかむ」という単純な日常行為の中にも、お国柄や文化の違いが見え隠れします。
それよりももっと面白いと思ったのは、かなり多くのティッシュ派の人たちがティッシュを入れている場所、です。
当然、着ている服のポケット、もしくはハンドバッグの中などを思い浮かべますよね。
それがなんと。彼らは服の袖の中にティッシュを隠し持っているのです!袖の中って収納スペースだったんだ~、知らなかった。
鼻をかみたくなると、袖を片手でひょいと広げて前腕辺りに入っている丸まったティッシュを引っ張り出して使います。アイルランド人だな~。

鼻をかむのは日中だけではありません。就寝時、起床時に鼻をかむ人も多いものです。
パットさんのパジャマパンツを洗濯する時は、必ずポケットをチェック。ここにもまた鼻をかむ用のキッチンペーパーを忍ばせていることがあるのです。
いつだったか、日本の雑誌のコラムで著名な作家さんが「パジャマにはどうしてポケットがあるのか。使っている人がいるのだろうか」ということを書いていましたが、アイルランドにはほら、ちゃーんといます。

ハンカチもティッシュもない場合はどうするか。
粗野なアイルランド人男性などが、かみたい鼻の反対側の穴を指で閉じ、地面に向かって思い切り「プン!」。これはいただけませんねえ。でも、確かに見たことあるなあ。

アジア系諸国に比べると、やはり立派なお鼻の方が多いアイルランド人。
「まあ~、なんて鼻の高い人!」と感心することもありますが、ご本人にとって大きすぎる鼻、高すぎる鼻はむしろコンプレックスであることが多いようです。アイルランド人を褒めるつもりで鼻の話をするのは危険かもしれません・・・!

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2018.04.04 21:45|アイルランド人
先日とある人気トーク番組を観ていたら、元アイルランド代表のラグビー選手ドナカ・オカラハン(Donncha O'Callaghan)がゲストで出てきました。ユーモアたっぷり、子ども番組も担当するアイルランドの人気者です。



トークの中でとても面白いエピソードを紹介しており、思わず笑ってしまいました。

「イングランドで仕事をしていると、やっぱりアイルランドが恋しくなりますね。イングランドの人たちはいい人たちなんだけど・・・なんというか、どうもユーモアに欠けるんですよ」
「先日、(イングランド人の)同僚がホームパーティーをすると言うので呼ばれて行ったんですね。彼の奥さんがおいしそうなケーキ焼いてて、すごくいい匂いでね」
「で、僕のところにもケーキを持った奥さんがやって来て『おひとついかが?』って言うわけです」
「でもさ、アイルランド人だったら普通そういう場面で何て答えます?・・・『No thanks, I'm fine (いえ、結構です、ありがとう)』でしょう?!」
「そしたら、その奥さんどうしたと思う?ケーキ下げてとっとと行っちゃったんですよ!!!もう一回訊いてよ!って感じですよねえ!」

「ほんと、イングランドの人たちって僕たちとは全然違う人種の人たちですよね」とドナカ。

ケーキを誰かに勧めて「いえ結構です」と言われたら。それは「そうか、この人はケーキ要らないんだな」と言葉通りに受け止めればむろんそうなります。
しかし何ともやっかいなことに、アイルランドではそう簡単にはいきません。
じゃあどうすればいいの?どんな風に対応すればいいの?
こんな場面で一度断られたら、「そんなこと言わずに、ほら、どうぞ!」と強く押さなければいけません!更に言うと、アイルランド人はあなたのこの「プッシュ」を待っているのです。

何が起こっているのかというと、最初の「ノー」は遠慮の「ノー」なんですね。アイルランド人特有の控えめであること、礼儀正しくあることを良しとする国民性の表れなのです。
ドナカの例のように相手(=同僚の奥さん)がほとんど面識のない人である場合、これはよく見られるアイルランド人の態度です。
だんだんに親しくなってくればリラックスして本音も出るようになり、同じような場面で「本当は食べたいけど遠慮する」という演技も少なくなってきます。

No thanksはYes?2

YesかNoかはっきりしてよ!と思わず叫びたくなってしまう、このアイルランド人の曲折した返答。
彼らのカルチャーを知らない人は、このイングランド人の奥さんのようにケーキを下げてしまうことでしょう。そして、本当は食べたいと思っていたケーキをもらえなかったかわいそうなアイルランド人を置き去りにしていることにも気づきません・・・!
こればかりはこの国でアイルランド人と暮らしながら習得、トレーニングしていくしか手立てがなさそうです。

でも一番大事なのは、今相手と私との間にどのくらいの距離があるかということを見極めること。
アイルランド人は、これに大変長けています。

相手と私はどのような関係なのか、今どのような場面なのか、誰がホストで誰がお客なのか、貸し借りはないか、私は相手のことをどれくらい知っているのか、相手は私と友だちだと思ってくれているのか、回りに誰がいるのか・・・。

こうして自分の今ある立場をあらゆる角度から点検し、その場に最もふさわしい態度をとる。アイルランド人たちは無意識に行っているのでしょうが、これは実は非常に高いスキルを要する行為です。

アイルランド人のあまりにきめ細やかな神経の使い方には、日本人の私も時に唖然とします。
私の目に映るアイルランド人は、そういう意味で非常に社会性のある人たちです。自分の立場をわきまえている人たち、控えめで、相手との距離を常に慎重に測り、見極め、相手を困らせないよう細心の注意を払う人たち。

どこまで見習えるのかは未知ですが、人として、社会人として今でも学ぶことの多い日々です。

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2018.02.08 00:44|アイルランド人
前回の「夫は生粋のエニス人」という記事に思いのほか反響があったようです。
今は冬だし畑仕事も少ない季節。もう少し、この国の人々について書いてみたいと思います。

クレア州の州都エニスの町の出身である夫のパットさん。ここから車で30分ほど行ったフィークルという村に暮らして云十年です。
付き合いのある私たちの友人は当然クレア州の人が多く、とりわけフィークル周辺、東クレア地域の人たちが中心です。
昔からパットと大変親しく、私にとっては親友の一人でもあるフィークル村出身のある女友だちがいます。彼女とパットはなんでも言い合える仲、時にはマナーの域を越えた発言もあったりと気安く付き合える友人です。

数年前のある夏のこと、パットが冬場に備えてポニーたちに食べさせるための干し草を作っていました。干し草作りというのはなんのことはない、芝草を刈って乾燥させるだけのことですが、刈ってから数日そのままにしておき、乾いてきたらフォークで一束ずつひっくり返して今度は反対側を乾かし、今度はそれを積んで干し草の山を作り・・と知恵と経験のいるスキルです。
すると彼女がにんまり笑って「パット、干し草なんて作れるの?やり方知ってる?」とからかいます。パットは「失礼な。昔ケリーの叔父たちのファームで散々手伝わされたし、何の苦労もないよ!」と切り返します。

すると彼女は冗談たっぷりに「本当~~?パットはタウニーなのに~!」と言うのです。

このタウニー(Townie)という言葉は一般的な英単語で、「町の人」「都会人」という意味です。
パットはエニスの出身なので、(田舎の男性たちのようには)農業のことなんて知らない、釘も打てなければチェーンソーも握れないでしょう!とこの友人はからかっていたのでした。

都会人がタウニーならば、田舎の人々は何と呼ばれるのでしょう?
アイルランドにはこれに対応した呼び名がちゃんとあって、カルチー(Culchie)と言います。
カルチーはアイルランド語が起源の言葉で、地方に住む人々のことを指します。

以前「ダブリンきらい?」という記事でも触れましたが、ダブリンの都市部の人たちのことは「イングランド人の回し者」という意味でジャキーン(Jackeen)と呼びますね。

これらの呼び名はいずれも他者を侮蔑的に表現した言葉です。

Killinaskully.jpg
(ティペラリー出身のコメディアン/俳優のパット・ショートによるアイルランド西部のカルチーたちを描いたコメディー「Killinaskully」)

カルチーは、実際のアイルランド人たちにとっては「田舎者」、「ゲーリックフットボールの選手やサポーター」、「保守的で洗練されていない人たち」、「アイルランド音楽などを聴いている人たち」、「ハーリング好きの人たち」、「ダブリンを除くアイルランド人たち」というイメージで使われているそうです。

一方でタウニーは「町の人たち」ですから、ダブリンやコークなどの都市部はもちろん、エニスのような小規模の町で生まれ育った人たちに対しても使われます。(但しダブリン市民にとってはエニスの町の人たちもカルチーなんでしょうね・・)
私たちの友人のように「DIYのできない、手を汚す仕事のできない人たち」という皮肉を込めて使われたりします。

さて、クレア州の地方に暮らす人々にとっては、とりわけエニス出身のタウニーたちに対してコンプレックスがあるとも言われます。
「ダブリン人とかよりエニス人の方が風当りが強いんじゃない?なにしろ自分の州にある町だからね・・」

タウニーはつらいわね。

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と5人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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