2017.11.11 00:35|毛糸と私
突然ですが、毛糸の販売を始めました。
私にとっては実は突然の出来事ではなくて、数年前から模索していたプロジェクトの一つです。地域で手売りをしているほか、日本向けにオンラインでも販売をスタートしましたのでご案内をさせてください。

販売しているのは、アイルランド北部ドニゴール州の小さな村で紡績されている「ドニゴールアランツイード(Donegal Aran Tweed)」と呼ばれる伝統的な毛糸です。

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今現在取り揃えている色は13色。

日本向けのオンラインショップはこちらです。
Wool Shop from IRELAND Hill Meadow

ドニゴールアランツイードは、ところどころ色の異なるネップがランダムにちりばめられたツイードヤーンと呼ばれるスタイルの毛糸です。ネップの入った毛糸はときどき見かけますが、ドニゴールの毛糸はネップの色バランスが天下一品、絶妙です。去年工場を訪れた時にマネージャーさんから聞いた話では、一色一色の毛糸にどの色のネップを何種類入れるかという作業を専門にするデザイナーさんがいらっしゃるそう。試作品をチームで吟味し、合格したものが新しい色として世の中に出ていくんですよ、とのことでした。

その名のとおり、この毛糸は昔からツイード織りにも使われています。ツイードのジャケットや帽子なども、アイルランドを代表する工芸品ですね。
今ではアイルランドの大手の織物メーカーさんも、この毛糸を使ったブランケットやセーターを出しています。

私は長年この毛糸でもの作りをしているので、ギフトショップなどに行くとこの毛糸を使って編まれたアイルランド産のセーターなどにもすぐ気がついてしまいます。
並太なので、アランセーター作りに最適な毛糸です。

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スカーレット。冬の暮らしに欲しくなるきれいな朱色。

この毛糸のもう一つの大好きなところは、ずばり「色」です。
一つ一つの毛糸の色が、私が普段親しんでいるアイルランドの自然の中にある色そのものなんですね。空の色。花の色。木の実の色。秋の落ち葉の色。なーんて美しい毛糸かしらん!

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ミルキーブルー。どこまでも優しい色。

一見単糸に見えるこの毛糸、ところどころ太くなったり細くなったりと不均等な糸の太さも魅力的です。ちょっと手紡ぎのような素朴さがあって、見ているだけでうっとりしてしまいます。

DSCF8819.jpg
アザミ。大好きな色の一つです。

この毛糸、私が少し調べた限りでは日本国内では販売されていないようです。
羊毛100%。
アランセーターは編めなくとも、マフラーや帽子ならできるかも・・そんな皆さんに。この冬、アイルランドの毛糸をぜひどうぞ。

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2017.10.23 08:23|毛糸と私
9月とか10月という月はたいていお天気が安定しているものですが、今年はちょっと違います。
とにかく雨が多く、ほぼ毎日降っているのではないかしら。雨が降っているのが普通だから、1日でも雨粒の落ちない日があると驚いたりします。

外でできる作業が限られてきたら、家の中で糸紡ぎ。
今月も、午前中の時間は紡ぎ車に向かうことの多い私です。

スピニング2017年10月 (5)

去年紡いで中途半端に残っていたピンク、茶、ブルーの単糸を見つけました。もともとフェルト用の羊毛玉であったのを紡いでみたものです。
近所の有機農家さんから買ったベージュ色の羊の原毛を別に紡いで、カラフルなこれらの単糸と一緒に撚るPlyingという作業を終えると、双糸と呼ばれる毛糸が完成します。

スピニング2017年10月 (1)

何に使うかは未定だけど、なかなかいい感じ。
普段、私の紡ぎは原毛のみです。染め、という作業はまた違う分野で、興味はあるのですが今のところ羊のナチュラルな色の毛を紡ぐだけで十分幸せ、手一杯です。

スピニング2017年10月 (4)

でも、色のある糸は楽しいものですね。

お湯できれいに洗って、干して、巻いて。するとやっと毛糸玉ができて、編むことができるようになります。
初めて買ったワインダーを使って、自分の毛糸を巻いてみました。

スピニング2017年10月 (8)

紡いでばかりいると当然のことながら毛糸だけが増えていき収拾がつかなくなるので、編んでいかねばなりません。
次回はそんな写真もご紹介したいと思っています。

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2017.07.06 08:56|毛糸と私
娘のリラはよくホームシックになります。フィークルの村中に住むクラスメイトの家にお泊まりに行くだけでも家が恋しくなるほどで、エキサイティングな3週間の日本滞在時も後半はホームシックに。

アイルランドの自宅に戻ると、当の私も「ああ、これが恋しかったんだわ!」というものがいくつもあって、やはり自分の家ほど居心地のいい場所はないのだなと改めて感じました。

その一つが、このセーターです。

2017年手紡ぎジャンパー (1)

この前の冬に自分で紡いだ羊毛の糸を使って編みました。
限りなくシンプルで、長く着られて、袖を通すたびに愛着を感じられるような一枚を作りたい。
型はなく、寸法を測るところからはじめて、いざ編み上がってからは着心地が少しでも悪い部分は思い切ってほどき直し、手間を惜しまず最後までこだわりました。
好きな服というのは色とか肌触りだけではなくて、快適な袖の長さや襟ぐり、肩幅などすべてが自分の体になじんでこそ出合えるものではないでしょうか。

使ったのは、トマスが飼育している白い羊の毛を紡いで双糸にしたものです。

紡いだ毛糸 (3)

編んで編んで、毛糸がなくなったら紡ぎ車で更に紡いで紡いで・・・どのぐらいの時間をかけて完成したのかは私にも分かりませんが、その甲斐あって満足のいく一枚のセーターができました。

2017年手紡ぎジャンパー (2)

四季を通して着れるよう、かなり太めの棒針をわざと使って編んだので軽いセーターに仕上がりました。目が粗いので太くなったり細くなったりする手紡ぎ毛糸の風合いが面白い表情を出してくれます。

7月といえば夏本番のアイルランドですが、気温も20度前後と涼しいので、日本から帰ってきてからも大活躍のセーターです。

「エリカ、そのジャンパー(アイルランドの英語ではSweaterとは呼ばずJumperですね)毎日着てない?」

Ah yes. Oh, NO NO NO!


Erika Moc O'C @Twitter
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2017.03.16 03:02|毛糸と私
明日は3月17日、聖パトリックの日ですね。アイルランドではこの日は祝日で子どもたちの学校もお休みとなります。
地域の各町村ではパレードが催されるので、私にとっては子どもたちを連れて慌ただしく移動する日でもあります。

この日に向けて、毎年毛糸を使ってある小物を作っています。

かぎ針シャムロック作り (7)

聖パトリックの日には胸元に本物のシャムロックの植物を束ねてつけますが、そう簡単に手に入るわけではありません。
そこでこれに似たものをウールで作れないかなと思い、かぎ針で作り始めたのがこちら。シャムロックをかたどったブローチです。ぷっくりと立体感のあるシャムロックの裏にブローチピンがついているので、胸元だけでなく帽子やバッグにつける方もいらっしゃるようです。

私のオンラインショップ「ハンドメイド通販 iichi(いいち)」さんにて販売しているほか、夫の働くエニスのミュージックショップ「カスティーズ(Custy's)」の店頭、昨年からは私の住む村の郵便局でも販売してもらっています。

小さなお店の商品が届くまで (5)

郵便局のブライアンにそれとなく尋ねてみると「いいね、窓口で販売してあげるよ。聖パトリックの日の3週間前ぐらいに持ってきてよ」と快諾してくれたのです。いつもお世話になっている信頼度抜群の誇るべき郵便局員ブライアン。この人なしには私は迷子になってしまう。ありがとう。

というわけで、2月も下旬になるとこのシャムロックブローチを何十個も作ります。最後にラベルをつけますが、子どもたちが「やりたい!」というので手伝ってもらうことにしました。

かぎ針シャムロック作り (11)

家族経営のビジネス?

かぎ針シャムロック作り (9)

おかげさまでフィークル村の郵便局では私のシャムロックブローチが地元の人たちに大変好評で、ブライアン曰く「今年は販売しないのかって、既に問い合わせがあったよ」とのこと。今年も30個近く売れているそうです。
「これ一体誰が作っているの?」と知りたがる村の人たちなので、私の名前はラベルに明記していないのに多くの方から「ブライアンから聞いたよ!」、「エリカのブローチ3個も買っちゃった!イングランドの息子夫婦に送ったんだよ」など嬉しい声をかけてもらっています。去年の聖パトリックの日には私のブローチをつけている人たちを村のパレードで何度か見かけ、嬉しい気持ちになりました。

かぎ針シャムロック作り (10)

カスティーズのお店では年間を通してカウンターに置いてあります。シャムロックはアイルランドのシンボルの一つでもあるので、聖パトリックの日に限らずお土産として重宝するのだそうです。

かぎ針シャムロック作り (8)

アイルランドの工場で紡がれる羊毛100%の毛糸を使ったシャムロック型のブローチ。
そろそろ毛糸が少なくなってきたので、また注文をしないと・・。


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2017.02.06 08:57|毛糸と私
ウールと一言でいっても、いろいろなウールがこの世界にはあります。
セーターや帽子、手袋といったウール商品を購入する際に、どんな素材でできているのかラベル表示を必ず見てから・・という方は多いのではないでしょうか。

本日は、意外に知らない(かもしれない)ウール素材のいろいろを見ていきたいと思います。

一般的なウールの代表格と言えばやはり羊毛でしょうか。言うまでもなく、これは羊の毛のことですね。
中には、特定の羊の種類まで明記してあることもあります。例えば「メリノウール100%」。メリノはオーストラリア原産の高品質なウールで有名な羊です。

アルパカウールも、とても人気のある天然素材ですね。こちらのブログでも以前ご紹介しましたが、アルパカは南米のひょうきんな風貌をした動物で、ウールはとても柔らかく高級とのこと。(過去の記事→「アルパカも、紡いでいます」

アルパカにやや似た動物でラマというのもいて、ラマのウールも手触りの良さで知られています。

さて、お次はモヘア。
ふわふわと軽く柔らかく、細かい毛に覆われたようなデリケートな素材ですが、「モヘアはなんの動物の毛でしょうか?」と訊かれると、「えっ、何だっけ?」と知らない方が多いかもしれません。
正解はアンゴラゴートという名前のヤギ、の毛。

アンゴラゴート

見るからに柔らかそうなもしゃもしゃの毛!つ、紡いでみたい・・・!

じゃあ高級素材として有名なカシミアは?
カシミアも、カシミアゴート、カシミアヤギという品種のこれまたヤギの毛なんですね。こんな動物です。

カシミアゴート

モヘアがアンゴラヤギなら、「アンゴラ」もアンゴラヤギ?かと思いきや。
紛らわしいようですが、「アンゴラ」と表示されている場合は普通アンゴララビットのウールを指します。そう、アンゴラはウサギの毛なんですね!びっくり。ついでにアンゴララビットの容姿にもびっくりします。

アンゴララビット

はははっ!

ほかにもヤク、ジャコウウシ、バイソンのウールというものもあるようで、ウールを紡ぐ私としては試してみたい動物の毛がたくさんあるわけです。

どのウールも、その土地の風土とそこに寄り添って生きてきた人々の生活様式、そして彼らが育んだ知恵によって「衣」として生まれ変わってきた歴史があり、面白いなと思います。

それにしても、持ち服の表示ラベルにある素材としてしか知らないというのは、なんて悲しいことだろうと思いませんか。
原形としての自然素材とそれを使って作られた商品を着ている私たちとの間に、どうしようもない距離ができてしまっているのも、消費社会の結果なのかなと思います。

私たちと衣との関係が、他人行儀でコネクションのない味気ないものになってしまっている。
衣類は毎日まとうものなのに、それが一体どんな素材でできていて、どこから来て、誰が作ったのか、私たちは知ろうとしません。そうした想像力をかきたててくれる衣が、私たちの生活の中にもはや存在すらしなくなっているということなのかもしれません。

ジャナの手編みベスト2017 (1)

この子ども用のベストは、私の近所に住む女性がお孫さんのために編んだものです。
羊毛100%で、この女性の娘さんのパートナーが飼育する羊の毛を私が紡ぎました。オレンジ色の毛糸は、紡いだ糸を更に玉ねぎの皮で私が染めたものです。
このベストは、どこに飼育されている羊の毛を使って、誰が紡ぎ、誰が編んだのか、ストーリーを1ページ目からすべてたどることができます。
洗うたびにウールが柔らかくなり、糸の集合体から一枚の衣へと変化していった、特別なベストです。
「草木染めだからどんどん色褪せるかと思っていたけど、鮮やかな玉ねぎ色が今でも見事なのよ!」と言って見せに来てくれたのでした。

私たちと衣の関係は、昔はみんなこんな感じだったんだろうな。

一枚一枚が貴重で、思いが込められているから、穴が空いても直しながら、いつまでも大切に使い込んでいく。
「使い捨て」のない暮らし。
こんな風に忘れ去られた暮らしの在り方を発見することが、私は好きです。そしてその視点を書き留めることで一人でも多くの皆さんと思いを共有することができたら。少しずつ何かが変わっていくかもしれません。


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望月えりか

Author:望月えりか
ウェブサイト「アイルランド田舎生活」のブログ版、日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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