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2019.11.13 12:42|我が家の食卓
我が家の庭に、一本の梨の木があります。
地域にあるIrish Seed Saversに勤めていた友人が、何年も前にくれた梨の木です。
「何かの病気にかかっていて販売できないから。でもいずれは回復して健康な木になると思う」ということで、畑の隅にあるコンポスト置き場の横に、パットさんが植えました。

友人の言った通り病気は1~2年で消滅、それからは毎年ぐんぐん枝を伸ばし、秋になると見事な梨をたくさん実らせてくれます。

一本の梨の木から2019 (7)

「たくさん」とは、20個、30個という数ではありません。もしかして、100個前後できてる?

一本の梨の木から2019 (5)

実の重さで枝が地面に不時着してしまうほど。たった一本の木に、こんなたくさんの梨ができるなんて。果樹というのは、なんて寛容なのでしょう。
9月の終わりぐらいから梨の実が少しずつ地面にぽとりぽとりと落ち始めました。枝に残る梨を一つずつひねってみて、簡単に枝から離れれば収穫していきます。これはりんごの収穫と同じ手法。

一本の梨の木から2019 (4)

バケツいっぱいの梨。むろん、これで全部ではありません。収穫した梨は段ボール箱に入れて、風通しのいい納屋に保存しています。
収穫直後はややかためだった梨ですが、日を置くごとに柔らかく甘くなっていきました。このまま行くと、どんどん熟れてしまう!近いうちに大量の梨を使い切らねば。

まずは手始めに、我が家の定番タルトに梨を使ってみました。

一本の梨の木から2019 (3)

これは焼く前の写真。うーん、絶対おいしくなること間違いなし。

そして。

一本の梨の木から2019 (2)

じゃーん。旬の味が詰まった絶品の梨タルトが完成です。

このほかにも、今年は梨のジャムをたくさん作って瓶詰めしました。1回目のジャムは梨とカルダモン、そして2回目のジャムは梨とバニラビーンズ。どちらも最高のお味。

我が家に大きな果樹園は必要ありません。
この一本の梨の木が与えてくれる恵みに、感謝する秋です。

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2019.10.30 23:24|我が家の食卓
いよいよハロウィーンですね。
ハロウィーンは、ここアイルランドでも古くから伝わる年間行事です。不定期便で過去にハロウィーンに関する記事をいくつか書いています(「ハロウィーンはアイルランドが発祥?」、「ケーキの中の指輪」、「11月は死者の月」などなど)。

今日はちょっと変わって、今やハロウィーンの代名詞とも言えるかぼちゃ、それもかぼちゃの種をおいしく食べる方法をご紹介したいと思います。

ハロウィーンの時期に登場するかぼちゃは、日本ではジャックランタンと表記されるようですね。英語ではJack o'-Lantern(ジャック・オー・ランタン)と綴られ、もともとアイルランドやスコットランドに伝わるかぶの中に住む鬼火のようなものとされています。かぼちゃではなかったのです。

「提灯を持った男」という意味のジャック・オー・ランタン。悪霊を遠ざけると言われ、ハロウィーンになるとしばしば家の玄関前などに飾られます。

ハロウィーンが近づくと、鮮やかなオレンジ色のかぼちゃがスーパーや八百屋の店先で売られるようになり、我が家もこれを毎年2つか3つ買ってきては子どもたちと一緒にくり抜き、中にロウソクをともして家の前に並べます。

かぼちゃの種の食べ方 (1)

デコレーション用のかぼちゃなので、くり抜く前に中のわたや種をスプーンでかき取るのですが、毎度驚くのがこの時に出る種の量。

かぼちゃの種の食べ方 (8)

これをどうにかしておいしく食べられないものかしら。
調べてみると・・・いましたいました、私と同じようなことを考えている人たちが!

中でも、お醤油とごま油を和えてオーブンでカリカリにローストするというレシピの響きが気に入り、さっそく試してみることに。

まずは種にくっついているわたをなるべくきれいに取り除き、沸騰したお湯に種を投入、10分間しっかり茹でます。

かぼちゃの種の食べ方 (6)

ゆであがったら水気をティータオルなどで取り、ボウルに一度入れてからしょうゆ、ごま油、サラダ油、塩こしょうを混ぜ合わせます。

かぼちゃの種の食べ方 (5)

まんべんなく和えたら、オーブントレイにシートを敷き、種を平らに並べ、あとは180度のオーブンで25分間ロースト。

するとすると・・・

かぼちゃの種の食べ方 (3)

お醤油の香ばしさいっぱい、かりかりのかぼちゃの種のローストが完成!

これが癖になるおいしさで、食べ始めると止まりません!最近はこの種を食べるためにかぼちゃをくり抜いているのではと思えてくるほど、大好物となってしまいました。

かぼちゃの種の食べ方 (2)

材料は以下の通り。
かぼちゃの種 1カップ
しょうゆ 小さじ1
ごま油 小さじ1/2
サラダ油 小さじ2
塩こしょう 少々

オーブンのある皆さん、ぜひ試してみてくださいね。

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2019.09.26 00:20|我が家の食卓
発酵食品が、今世界中で注目を集めていますね。腸内の環境を整え、私たちが本来持っているはずの免疫力を高めてくれると言われています。花粉症や食物アレルギー、アトピーなどの症状を抑える効果もあるそうです。

私はアイルランドに暮らしながら、自分で作った酵母を使ってパンを焼いたり、身の回りの花やベリーを発酵させて自家製ワインを作ったりと、発酵という過程を利用した飲食品作りを楽しんでいます。

今回は、お味噌。
そう、日本の味噌です。

以前からずっと挑戦してみたいと思いつつ、味噌作りに欠かせない麹(こうじ)が手元にないことを理由に保留となっていたのです。2017年に数年ぶりの帰省、この機会を逃すまいと市販の米麹を何パックか購入し、ほくほく顔でアイルランドに帰国したのでした。

味噌づくり (28)

味噌は、日本に住んでいた頃は生活クラブの「信州田舎みそ」が母の定番で、私がアイルランドに移り住んでからも何かにつけて「味噌はあるの?」と母がせっせと小包みに入れてくれていたのでした。でも、信州田舎みそは1キロ。郵送料もかかるし、いつまでたっても親頼みというのは心苦しい。
私はここ数年和食を作ることがほとんどなくなってしまったので、味噌は毎日使うわけではないにせよ、やはりお醤油と同様に何となく切らしてはいけない、台所になくてはならない調味料のような気がします。

自家製の味噌が一気に作れたら、申し分ありません。

味噌作りに必要なのは3つの材料のみ。すなわち、大豆、麹、そして塩です。
作り方はインターネットで調べるとたくさん出てきたので、分量など参考にしてみてくださいね。
私は今回3キロ分の味噌を作ってみました。

まずは大豆の準備です。日本の大豆ではないけれど、これは仕方がありません。

味噌づくり (34)

乾燥大豆を一晩水に浸けまーす。

味噌づくり (33)

翌日、今度はこれを煮まーす。

味噌づくり (32)

大豆が指で押すと潰れるぐらい柔らかく煮えたら、今度はこれを綿棒などを使って潰していきます。
私も最初は試したものの、結構な大豆の量だったので途中で挫折、フードプロセッサーを使うことにしました。

味噌づくり (30)

完全なペースト状にするもよし、私はあえて少しつぶつぶが残るぐらいにしてみました。

味噌づくり (29)

おお~、なんだか既に味噌っぽいではありませんか!
いえいえ、味噌作りはいよいよこれからですよ~。お次は残りの2つの材料、麹と塩の投入です。

味噌づくり (27)

味噌は、米麹に付着している麹菌の力を使ってゆっくり発酵させて作るのですね。う~ん、おもしろい!

味噌づくり (26)

潰した大豆の入ったボウル(または大鍋)に麹と塩をざざーっと入れます。

味噌づくり (16)

さあ、ここからは手で豪快に混ぜる作業!まぜまぜ。

味噌づくり (14)

まぜまぜまぜ。力仕事です。

味噌づくり (12)

均等に混ざりました。米麹のつぶつぶと、大豆のつぶつぶが見えますか?

これで、味噌作りの主な工程は終了!えっ、これだけなの?
大豆を煮て潰して、麹と塩を混ぜるだけ。
あとは容器に入れて1年ほど寝かせば味噌の完成です。

容器に入れる時は団子状に丸め、これを詰めていきます。味噌は発酵に時間がかかるので、空気が入りこむとカビが発生しやすいのです。ぎゅっ、ぎゅっと手でだんごを作って容器に詰めれば、カビ防止につながるというわけ。

味噌づくり (11)

子どもの頃の砂場遊びを思い出すなあ。

本当なら陶器やガラスの容器を使いたいところですが、今回は残念ながらプラスチックのコンテナ。

味噌づくり (9)

お団子を隅からていねいに詰めていきます。げんこつでぐいぐいとパンチしながら、空気が入らないように気をつけます。

味噌づくり (7)

ふう、3キロ分の味噌がやっと容器に入りました!

味噌づくり (6)

潰れてない、そのままのゆで大豆も入ってるけど・・・ま、いっか。

味噌づくり (5)

表面に少量の塩をまぶし、空気が入らないようにぴっちりとラップをします。あとから作り方を読んでいたら、木綿の落とし布でもよいのだそう。

味噌づくり (4)

容器にぴったりの中蓋があればよかったのですが、そんなものはないので私はラップの上から重石。この重石もほどよいものが見つからず、どこかのビーチで拾ってきた丸石の小さいのをいくつも置いて、よしとします。ん?ショーンが石に描いた顔?

味噌づくり (3)

と、まあそんなこんなで味噌を作ったのが2018年のまだまだ寒い3月のこと。
味噌は作ってから1年ぐらいすると食べられると言われますが、特に夏の暑い季節に熟成が早まるそうです。日本ではひと夏越えればその次の冬に完成ということになるらしいですが、アイルランドで味噌を作る友人に訊いてみると「アイルランドではね、だめ!夏でも涼しすぎて発酵が進まないから、完成時期も遅いんだよ。夏は2回くらい越したぐらいがいいと思う」

一体どんな味なのか、早く食べてみたくて仕方がないのですが、我慢して2019年の夏まで待ってみました。
そして、解禁。

味噌づくり (37)

うわー!あんなに白っぽかったのが、いかにも味噌らしい濃い色に変わっていました!

味噌づくり (36)

容器の隅のほうはやはりカビが発生していたので、これをきれいに取り除いてからいざ試食。

味噌づくり (35)

ちゃんと味噌になってる!口に含むと、意外にも甘みがあり驚きました。大豆の食感もなかなかいい感じ。今までに味わったことのないお味噌の味に感激です。

味噌づくり

お味噌汁を作ってみると、これもまたコクというのか妙な旨みがありおいしい。ああ、作ってよかった、自家製味噌!
今、我が家の冷蔵庫には手作り味噌の入ったタッパが4つ保管されています。なかなか減らない味噌。でも、あると嬉しい自家製味噌。長持ちしそうです。

なんでもそうかもしれませんが、「買うのが当たり前」という観念を一度解いて「これ、作れないのかなあ?」という見地に立ってみることって、すごく大切だと思います。

すると、どうでしょう。作る過程はおもしろいし、食べてみると市販のものよりもずっとおいしいし、不要なパッケージも一切なしの正真正銘、自家製○○のできあがり。
今まで何も考えず口に入れていたものに対して造詣が深まり、食材の一つ一つについての意識も高まります。また、ものによっては、自分で作る時には入れなかったのに、スーパーの市販品には含まれるカタカナの意味不明の原材料にも、疑問を持つようになることでしょう。

いいことづくしの手作りフード。ぜひ暮らしに取り入れてみてくださいね。

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2019.05.09 06:27|ワイルドフード
いつか、誰かから「アイルランドのゼンマイも食べることができる」と聞いたことがありました。
私は日本の住宅地で育ったのでいわゆる「山菜」というものが身近になく、テレビのニュースで山菜狩りを旬の行事として眺める程度でした。ですから、「ゼンマイ」という食べ物も聞いたことはあったし、大人になってからはそれがシダ植物の新芽らしいことも理解はしていたのです。アイルランドは雨量が多く、年間を通して湿度が高いせいか、じめじめとした土地を好んで自生するシダがとっても元気です。我が家の敷地内にも、垣根に沿った日陰や木の根元など、それこそそこらじゅうにシダが生い茂っています。

ゼンマイの収穫2018 (8)

シダ植物は最古の陸上植物として知られており、世界中にいろいろな種類のシダがあるそうです。我が家の周りでは、毎年同じ場所の同じ株から芽が出てきます。

ゼンマイの収穫2018 (5)

ぐるぐる。ぐるぐる。
まるでアート作品のようだと思いませんか。

ゼンマイの収穫2018 (10)

このらせん状のゼンマイは、英語で「Fiddleheads」と呼ばれます。フィドル=ヴァイオリンの頭、つまりヴァイオリンのスクロールに似ていることから来ているのですね。確かにそっくり。

ゼンマイの収穫2018 (6)

どんな種類のシダでも食べられるそうですが・・・この毛むくじゃらくんを摘むの・・・?
日本のゼンマイとは明らかに種類が違うようです。周囲の知人に訊いてみると「そうよ!茶色い毛を取るのがやっかいだけど、頑張って」と言ってくれたので、自信を持って収穫です。

ゼンマイの収穫2018 (4)

台所で作業する私をちらりと見るパットさん、しばし沈黙。
「・・・あまり食欲をそそる光景ではないね」

指先を上下させてこするようにするときれいに毛が取れ、つるつるの肌が見えてきました。時間のかかる作業です。ひいひい。
さあ、このあとは重曹とお湯を使ってあく抜き処理をします。

お湯がみるみる赤みを帯びてきます。しばらく浸けておいてから水を捨て、きれいな水に取り替えます。何度か繰り返し、1~2日すると水が濁らなくなるので、これであく抜きの完了。

ゼンマイの収穫2018 (2)

あ、食べられそうな姿になってきましたよ!

今回は初めての収穫だったので欲張らず、量は少なめ。友人から教えてもらったレシピにならって、日本人らしくしょうゆ漬けを作ってみました。

ゼンマイの収穫2018 (1)

ご飯に少し載せて食べてもおいしいとのこと。まさに和のお味!
残ったゼンマイは、パスタの具としてもいただきました。淡白だけど独特の風味でおいしかったです。不審がっていたパットさんも満足満足。

ブラックベリー、きのこ、木の実、イラクサ・・・アイルランド不定期便のブログでは、今までさまざまな自然の恵み、ワイルドフードをご紹介しています。無料(ただ)で食べ物が手に入るんだからお得よね、というコメントも聞いたことがありますが、私の中にこの価値観はありません。それよりも、ワイルドフードの収穫は自分の暮らす土地を自分の足で歩く機会を与えてくれます。自分の暮らす土地を知ることで育まれる愛着心。きれいな空気をたくさん吸って、いろいろな種類の野鳥のさえずりから鳥の名前をおぼえ、ご近所さんと道端であいさつ。自然と自分の接点を再確認させてくれる時間は、私の暮らしの基礎を作ってくれるのです。

それにしても、今回は下処理がちと大変でしたね。アイルランドのゼンマイ・・・また収穫するかな~。どうかな~・・・。

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2019.03.30 02:30|ワイルドフード
スイバ?何それ?なじみのない名前です。私も今回記事を書くまで、この日本語名を知りませんでした。
英語ではSorrel(ソレル)。いくつか種類があるようですが、中でも定番のCommon Sorrelは、私たちの家の周りでも簡単に見つけることができます。スイバは、食べられる野草です。

日本では野生のスイバの新芽をとって食べるそうです。春の山菜のひとつですね。
アイルランドでは、ピューレにしたり魚料理の添え物にしたり。初春のスイバは葉が柔らかいので、グリーンサラダとして食べてもおいしいのです。

さあ、家の裏の土地をてくてく歩いて、スイバを摘みに行こうっと。

3月の畑2019年 (2)

遠目ではただの草地に見えても、実際に歩いてしゃがんでよーく観察してみると、実にさまざまな植物が共生しているものです。タンポポやデイジー、キンポウゲ。数種類の苔やイグサ、イラクサの姿もあります。

そしてそんなところに・・・

スイバの収穫 (3)

発見。スイバもありました!
子どもたちも食べられることを知っているので、小さい頃からスイバの葉を見つけてはむしってもぐもぐ食べています。

苔やアイヴィーの葉に混じって、低い石垣の上にも群生していました。わーい。

スイバの収穫 (2)

きれいな葉を摘んで、一人でゆっくり食べるランチ用にサラダを作ります。昨日のディナーで残ったローストポテトを、オリーブオイルを使ってフライパンで加熱し、シンプルランチの完成です。
さて、お味は?

スイバの収穫 (1)

うーん、レモンのように酸っぱい!私はビニールハウスの中で摘んできたルッコラやレタスと一緒に食べたので、スイバの酸味が強すぎずちょうどよかったです。
スイバは「酸い葉」だそうで、その酸味で有名なのですね。

私たちの食品は、何もお店で買うものばかりではありません。ふと足元を見れば、食べものは自然の中にもある。そんな自然の恵みを、一つ一つ発見していく瞬間、味わう時間というのは楽しいものです。たとえ糸のように細くとも、自然と自分がつながっていると思える時。いつもの見慣れた風景が変わってきます。
スイバのサラダ、もっと作ろうっと。

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望月えりか

Author:望月えりか
書く人。日々の暮らしの様子をエッセイにしてお届けしています。
2004年よりアイルランド人の夫、一姫二太郎と4人でアイルランド西部の小さな村に暮らしています。
アイルランドの自然と伝統音楽に囲まれながらオーガニックな野菜作りと食生活、農家さんの羊毛で糸紡ぎ。アイルランド伝統音楽プロジェクト「ブラックバードミュージック」運営。フィドルを弾いたりフルートを吹いたり。
著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」(出版舎ジグ)
新聞、雑誌等プレスへの寄稿文依頼はirishcountrylife@gmail.comまでお問い合わせください。

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