それでも、基本的にはやはりヨーロッパ系の人たちが多くて、アジア人はアイルランドの都市部でこそよく見かけるものの、田舎ではまだ珍しい存在です。そんな中、去年生まれて初めてインド人の友だちができて、とても嬉しかったのを覚えています。
毎年冬になるとインドに出かけて数か月を過ごす友人のブレンダンが現地で知り合った男性で、二ラージュさんといいます。
アイルランドとはもともと個人的につながりのある人だったので、それが縁でブレンダンの小さなコテージに数か月滞在している時、初めて会いました。
インド北部の出身で、地元では日用品店を営んでいたのだそう。観光客もよく来るお店だったので、そこでたくさんの日本人とも出会い、いつの間にか片言の日本語を話せるようになっていたとかで「あ~エリカさん、ゲンキ?」と日本語であいさつをしてくれます。
好奇心に満ちたきらきらの瞳。
笑顔でフレンドリーで、でもそれだけじゃない。人に対して誠実な人、と言うのかな。少し言葉を交わしただけで「この人は信頼できる」と思える人なのです。
子どもたちにもまっすぐ向き合ってくれる二ラージュさんは、リラとショーンにもていねいに話しかけています。
貧しい家庭に育ったからという話を聞いたことがありますが、読み書きができないということで、今はその勉強を一生懸命しているんですよと話してくれました。この世界にはいろいろな人たちが生きているんだなあ。
フォークなど使わずに右手だけでカレーを食べる方法を教えてくれたり、インドの家の近所にうろうろしている白ヒョウの写真を見せてくれたり。友だちの友だちが遊牧民で、彼らが飼育しているカシミアヤギのウールで織った軽やかなスカーフを首元にまいている二ラージュさん。
二ラージュさんの話を聞いていると、むくむくとまた旅をしたくなります。ああ、世界には知らない土地がたくさんあって、私たちとは全然違う言葉や風習の中で暮らしている人たちがたくさんいるんだよね。自分の住み慣れた環境を離れて、未知の世界に飛び込むあのエキサイティングな瞬間。ちょっと勇気を出して彼らの暮らしが見える場所に踏み込めば、刺激的な冒険がはじまります。
インドに一時帰国していた二ラージュさんがアイルランドに戻ってきた時には、私たち一人一人にプレゼントを持ってきてくれてびっくりしました。
「これはエリカに」と言って、いかにもインドらしい小袋の中に入っていたのは、小さな瓶。

ヒマラヤ原産のハニーサックルから抽出した香水なんですよ。
ラベルも何も貼られていないので、どこでだれが作ったのかはまったく不明。だけど、この香り!すがすがしくて控えめで、とても自然な香りがします。

ちょっとへこんだ金メッキのトップも、なんだかインドらしいですよね。
夫のパットは20代の頃にインドを数か月かけて旅したことが何度かあり、今でもインドに行きたい病にときどきかかります。
一方で私は、インドに行った人たちからおぞましい体験談をたくさん聞かされたせいか、インドに行ったら精神的にだめになってしまいそうな気がずっとしていました。
でも今回二ラージュさんに出会って、インドもおもしろそうだなあ、行ったらきっと楽しいんだろうなあという気がしてきました。
うーん。
だってきっと私、実は結構タフなので、たぶんどんなところにたどり着いても生き延びる気がします。何日もシャワーを浴びなくても、ぬかるんだ道を何時間も歩かなくてはいけなくても、電話もインターネットも何にもない場所でも、たぶん全然大丈夫。
ヒマラヤのハニーサックルの香りに包まれながら、インドの旅を夢想しています。
望月えりか 初著書「見飽きるほどの虹 アイルランド 小さな村の暮らし」
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